2019年開催の「クリスマスローズの世界展」へ行く!原種シクラメンに興味深々!!

今年も行ってきました。
というより、今年こそ、行ってきました。

クリスマスローズの世界展へ行ってきました!

昨年は思うように見て回れなかった…

池袋サンシャインシティで開催された、クリスマスローズの世界展です。

どんなイベントなのかというと、クリスマスローズという植物をメインで紹介・販売し、数多くの来場者が集う名の知れたイベント
販売される植物もクリスマスローズだけではなく、原種シクラメンや雪割草など季節の花々も並びます

実は、昨年も行ったのですが…。
どんな植物があるのか、まずは下調べをするつもりで会場を1周し、いつの間にやら出口へとたどり着く。
再入場ができるかとスタッフに問えば断られてしまい、泣く泣く会場を後にしたのです…。

そんな教訓を踏まえ、今年は慎重に会場内を散策
出口に辿り着く寸前に踵を返し、無事にクリスマスローズ展を楽しむことができました!

そう、楽しんだのです。
簡単に言えば、クリスマスローズの知らなかった部分を聞くことができたり、原種シクラメンの栽培方法を詳しく知ることができたり…。
ネットなどの情報を探すよりも、より深くて実用的な情報に出会えたのです。
これこそが、イベントに自らの足を運ぶ理由でもあり、何度も行きたくなる重要なポイントだと思うのです。

クリスマスローズ展へ行く2つの理由

今回、クリスマスローズへ足を運んだ理由は2つ

まずは1つ目。
職業柄、会社には植物を育てることが好きな人が多く、今回は「黄色いクリスマスローズ」が欲しいとおつかいを頼まれたのです。

幾つかのブースでお話を伺ったのですが、実は、「黄色いクリスマスローズ」という定義が難しいそうです。
実際に花をみてみるとクリーム色寄りだったり、黄緑色寄りだったり。
さらにはより黄色に近づけたものは若干のグレードが上がるのだとか。
「黄色いクリスマスローズ」は、それほど人気で数多くのファンを虜にしている、文字通りの高嶺の花だったのです。

結局、名前に「イエロー」と入った花のない苗を購入しました…(笑)。
値段も1,000円以下とお手頃です。
どんな花が咲くのか、おつかいを命じた職場の方の報告が今から楽しみ!

2つ目。
今回は「原種シクラメン」について、いろいろと情報を集めたかったのです。

原種シクラメンの魅力

昨年の秋のこと。
まだ園芸種のシクラメンが出回る前のシーズンにSNSを賑わせていたのは原種シクラメンのエントリー
それまでの僕は原種シクラメンといえば、クリスマスローズ展で見掛ける地味な植物…くらいにしか認識していませんでした。
しかし、数多く投稿されるエントリーをみるにつけ、こんなに魅力的な花は他にあるだろうかと感じたのです。

その理由は、

  • 日本人が大好きな斑入りの葉
  • 小さくても愛らしい花
  • 小型であること
  • 種類が豊富
  • 低温でも栽培が可能なくらい強健な品種がある

にあります。
どれも現代の園芸に関しては欠かせない要素であると考えています。

日本人が大好きな斑入りの葉

原種シクラメンの葉には特徴的な斑が入るものが多く存在します。

その模様や色合いによって価格が変わったり、希少価値が高くなることも
特に近年では「ミラビレ」という品種の高貴な葉模様が話題を集め、ピンク色を呈する品種をはじめとした数多くの株がSNS上で紹介されています。
結果、自然の織り成す独特な葉模様は「SNS映え」をし、秋頃には多数の投稿を目にしたのです。

小さくても愛らしい花

さらには咲かせる小さな花も、色や形がバリエーションに富んでいます
基本はピンク色から白色までのパステル調の花を持ち、なかには絞り(花に模様がつく)が入ったものや、紫色の濃いものなど、観賞に耐えうる花を咲かせる品種もあるのです。

比較すると、園芸品種のシクラメンは、花が大きく、どちらかと言えば派手目な印象を受けます。
一方で原種シクラメンは程よく質素な花であり、可愛らしい。
それがまた園芸品種のシクラメンとは区別できるポイントであるのです。

小型であること

そして重要なのは小型であること
ここで重要な要点は「省スペース」化です。

いま、植物の栽培に適した「庭」が衰退し、都市部にあってはベランダや出窓のスペースも小さくなりつつあります。
近年はその傾向が特に顕著であり、あらゆる鉢物植物がコンパクトになってきています

色味も派手なものよりも、トーンが抑えられ、主張しないものが良い

そんな要望にピタリとはまるのが、まさしく原種シクラメンであるのです。

種類が豊富

シクラメンの原種は15~20種類あるといいます
この数は多くもなく、少なくもない、ちょうどいい数だと感じます。
園芸品種のシクラメンはもはや把握し難しい種類に及び、個人でのコレクションには厳しいものが…。
ところが原種シクラメンの種類は手が届く範囲におさめられ、かつ系統立ててカテゴライズできるのでコレクションとその管理がしやすいのです。

そのうえ1品種の中でも葉の模様の違いや花の絞りの出方により評価が変わるため、これまた奥が深いのです。
一見すれば集めやすい種類数であるように見え、突き詰めればさらに深く追求できる…。
いわば噛むほどに味が出る「スルメイカ」のような面白さがあるのです。

低温でも栽培が可能なくらい強健な品種がある

原種シクラメンを語るうえで忘れてはいけないのが、この部分。
凍るような低温にでも耐えうる種類があるということ。

園芸種のシクラメンにあっては大抵、霜合降りるような環境で戸外に出していれば、一夜にして枯れてしまいます。
ゆえに「シクラメンは温室がないと育たない」というイメージを持っている人が数多くいらっしゃいます
…という僕もそのうちの一人だったのですが、園芸種であっても5度を下回らない部屋に置けば温室がなくても育てることができます

ところが原種シクラメンの「コウム」や「ヘデリフォリウム」などの種類は霜が降りるような戸外でも育てることができると言われています。
実験的に「ミラビレ」、「ヘデリフォリウム」、「コウム」を群馬県北部の我が家でも、冬の間ベランダに放置しているのですが未だに凍死せず…。
何度氷点下の寒風に晒したのか、想像を絶するものがありますが、さすがに驚きました…💦

そんな特性を生かして、武蔵丘陵森林公園では地植えの原種シクラメンをみることができるそう。

調べれば他にもあちらこちらの施設で原種シクラメンを植え付けています。
最近見かけたのはオザキフラワーパークの花壇にも植えつけられていましたよ[*01]!
もしかしたらお住まいの、近くの公園でもみることができるかもしれません…!

「乾燥球根」という難モノ

発芽したものの生長が止まる

そんなこんなで原種シクラメンの魅力をツラツラと書き述べてしまいましたが、どうしても分からないことが。
それは乾燥球根で買ったコウムの動きです。

植えつけた間際には勢いよく水を吸い、シワシワだった球根があっという間にふっくらと膨らみました。
その後、ぽつぽつと小さな芽があがるものの、それ以降「動き」に変化がないのです。

本来であればある程度、葉を茂らせて、次のシーズンのために光合成をしなければならないのでは?と思うのですが、どうにも心配。

そのことを横山園芸さんのブースの方や、英国原種シクラメン協会さんの方などに伺ってみました。
で、結論は…

スタッフの方

乾燥球根は失敗が多いので手を出さないほうが良い

とのこと。
多少の水分を含んでいるのが本来の球根のあるべき姿なのに、乾燥球根は極限までに萎れている…。
そんなダメージを強くけているがゆえ、却って栽培が難しいのだそうです。
基本的には苗や種子を購入することが望ましい…とのアドバイスを受けました。

コウムを購入

で、乾燥球根がダメになってしまったことを考え(!?)コウムを買っておきました(笑)。

美しい…!
購入したのは「BSBEfi2」という品種。
花に薄い絞りが入っているという美品なのです。
大切に育てます!

日本チベタヌス協会さんのブースにて

「チベタヌス」とは?

ハナシが原種シクラメンに寄ってしまいましたが、会場内で面白く感じたのは、これ。

中国原産のヘルボルス「チベタヌス」。
クリスマスローズの原生地はヨーロッパだと思っていましたが、実は中国にも仲間が自生しているのだとか。

◆ヘレボルス・チベタヌス(キンポウゲ科)
高さ30~50cmの落葉性クリスマスローズ。花は始め紅色をおびていますが、後に緑色に変色します。早春に花を咲かせて初夏に実を落とすと、地上部は枯れて休眠期に入ります。他の20種類の原種は地中海沿岸を中心とした地域に分布しますが、この種のみ遠く離れた中国四川省に隔離分布しています。パンダやハンカチノキを発見したプラントハンターのアルマン・ダヴィッド神父が1869年に中国の四川省付近で採取しており、当時その近辺をチベットと呼んでいたことから、「チベタヌス」と名付けられました。その際、生きた植物を持ち帰っておらず、その後120年後に再発見されるまで西洋人は誰も見たことがなかったため、「幻のクリスマスローズ」とも言われています。


引用元: 幻の花 ヘレボルス・チベタヌスを愛でる 六甲高山植物園「クリスマスローズ展」初開催|阪神電気鉄道株式会社のプレスリリース

出展していたのは「日本チベタヌス協会」さん。
展示されていたチベタヌスは一般的な「クリスマスローズ」とされるものよりも小型な印象を受けました。

ロマンあふれる植物群

スタッフの方にお話を伺うと、中国への現地調査へ赴くこともあるという日本チベタヌス協会さんは絶賛会員募集中とのこと。
まだまだクリスマスローズに比べると栽培している人数も少なく、これからが面白くなるロマンあふれる植物群。
若い人にも興味を持ってもらえれば嬉しいと話していました。

小さいながらも上品な佇まいは、多くの人を惹き付けるポテンシャルを秘めています。
栽培方法のさらなる研究が進めばきっと、ファンも増えていくのだろうと思います。

最後に…

そんなこんなでお目当ての黄色いクリスマスローズも購入でき、原種シクラメンの見聞を広めることもできました。

ところで、この記事を書く中で後悔しているのは、自分用のクリスマスローズを購入しなかったこと…。
せっかく群馬県の山沿いに住んでいるのだから、地の利を活かした植物栽培に挑戦したいものです…。
来年こそは是非…!

  1. 2019年3月現在 []

この記事を書いた人

mokutaro

植物好きが高じ鉢物業界に飛び込んだアラサー男子。群馬県に移住し、毎日、食べ(られ)ない嗜好性の強い植物とまみれています。 園芸を考えるブログ「ボタニカログ」を運営中。