メルカリで植物を売って感じたこと。もはや「消費者」も「生産者」もない!?

植物を趣味とすること。
それは、植物を育て続けること…。
僕は元来、そう思ってきました。
ところが昨今、一般の趣味家でもフリーマーケットアプリを使って、手軽に植物を売買できるというのです。
試しに僕も使ってみたのですが、考えが今までとはガラリと変わりました
考えが変わると同時に、これはいろいろとヤバいんじゃないかと危機感さえも覚えてしまったのです。
今回はフリマアプリのひとつ「メルカリ」を使って考えたことをここに記しておきます。

すべての植物に「価値」がつく時代

植物は育てるだけじゃない

数年前のこと。
コーデックス(塊根植物)と呼ばれる植物が流行し始めたころ、人気のある品種が大量に売買されました。

主にオークションサイトなどで売り買いされ、瞬く間に買われていきます。
しかも高値で取引されるのです…。
その結果「投機目的」のために植物を買っては売ってを繰り返す人が後を絶ちませんでした
そのとき僕は

植物は育て続ける、一緒に生きてこそ味わえる娯楽だ

と考えたのです。
カネのために売買を繰り返いしていれば、じっくり育てるべき園芸の楽しみが薄らぐのでは?と…。

ハオルシア高騰の報道を観て。金儲けのためだけに多肉植物をはじめるのはオカド違いでしょ。

2017.03.13

しかし、です。
今回、メルカリを使ってみて分かったのは、

誰かに植物の楽しさを発信し、広めていくこと自体も娯楽園芸に含まれる

のではないかと感じたのです。

交換することの対価でみえる「価値」

それはどういうことか。

存分に楽しんだ植物を自分一人だけではなく、他の誰かと楽しさを共有したい。
けれども周囲にその楽しさを分かち合える人がいない。
そんなとき、メルカリなどのツールを使えば、

  • 能動的に植物を欲している人へ
  • スムーズに植物と対価を交換
  • 好きを共有」できる

のです。

キモなのは、その交換に金額が発生することによって、取引相手の「植物を育てたい」という度合が見えること。
近所のオバちゃんにタダで植物を渡しても、植物を育てる意欲のない人であれば一瞬で「生ごみ」となってしまいます…。
少なくとも、対価が発生することによって、その植物の価値が分かっていることが伺えるのです。
これは、長い時間や労力を植物に費やしてきた売り手にとって、とても安心できること。
大切に育てた植物は、大切に育ててくれる人に譲りたいものですから。

また、煩雑なメッセージ交換がなくとも、住所通知などのやりとりが可能であり、メルカリでは匿名での発送ができるのもポイントです。
わざわざPCからメールを送って、デジカメで植物の写真を撮って…なんて作業も要りません。
商品登録もスマホだけで事足りるので、超ラクなのです。

増えることは良いこと

「多肉は増えると場所に困る」。
多肉植物を栽培している人の多くが抱える悩みはコレに尽きると思います。
大抵の方は植物が増えることをセーブしたり、増えてしまった植物を廃棄処分しているのではないでしょうか。
僕も同じです。
ポロポロと落ちるアドロミスクスの葉が、いつの間にか根を生やし、子株を形成していることが多々あります。
しかし、そんな子株を栽培し、置いておくスペースはありません
増やせばまた、同居人からとやかく文句を言われてしまいます(笑)。
可愛そうだなぁ…と思いつつも処分したことが幾度もありました…。

けれどもう、涙をこらえながら、罪のない幼い命を捨てる必要はないのです。
小さくても立派に成長し、いつか花開く…。
それを理解し、共感してくれる方に譲ればいいのです!!

植物が増えて邪魔だと言われていたウカラヤカラ。
これからは胸を張って子株を土に植えようではありませんか(笑)!

育てて売るという処分方法

ということで、栽培スペースを圧迫しない程度に育て、輸送にも耐えられる大きさになった時点で売る
そんな選択肢もあるのではないか、と思うようになったのです。
別に子株だけではなく、親株になるまで育て、同じ植物を愛好する方に譲ってもいいのです。
植物を育てるという一連の行為に「売る」というアクションを加えることで、趣味の園芸の幅が広がるように思うのです。

メルカリというアプリを通して、育てた植物の価値を推し量る。
すべての植物には一瞬で価値が付加され、誰もが知識なくその価値を知ることができるようになる。
その価値に納得できれば、育てた対価を手軽に手にすることができるのです。
良い意味でも悪い意味でも…。

「生産者」のライバルは「生産者」じゃなくなる

「売る」ことを前提とした植物選び

もちろん、どんな植物も買ってもらえるわけではありません。
これは致し方のないことですが、人気の高い植物はホントによく売れています
最近だと「アルブカコンコルディアナ」などの珍奇な植物が飛ぶように取引されているし、ウサギの耳に似たメセン系の多肉植物「モミラリア」なども種からの売買が頻繁に行われているようです。
また、普及種においても、ある程度の年数の経ったしっかりとした株はすぐに買い手がつきます。

ところが、見るからに質の悪い植物や、あからさまに金額の高い植物はいつまでたっても売れません。
それもそのはず。
ある程度の植物は大型園芸店に行けば購入ができるし、わざわざ運賃を払ってまで購入する必要はありません。
買い手もその分、商品選びには慎重で、妥当な価格を探るという面でも、売り手の勉強になります。
一般の趣味家であっても、どんな植物が買ってもらえるのか…ということを学習できるのです。

生産・販売者は消費者が新たなライバル

と、いうことは…。
現在の植物を生産している業者にとっては非常に大きな転換点にあると僕は感じたのです。
メルカリのように、植物を売買する媒体が手軽に使えれば使えるほど、消費者は植物選びに慎重になります。
先にも書いたように、他人に買ってもらうことで園芸という趣味の間口が広がるのであれば、どこにでも手に入るような植物は売れません
同じ植物を多くの人が育て、実店舗でもネットでも手に入るようになれば、それは市場が飽和している状態。
途端にその植物が売れなくなってしまい、一瞬で品種がコモディティ化してしまいます
つまり、皆がその植物を「不要」と見なしたことに他ならない結果となってしまうのです…。

植物を買おうとする消費者も、ある一面では「売り手(バイヤー)」として植物を見ています。
消費者がその先の消費者を絶えず意識しているのです。
この時点で、目先の取引先にだけしか意識の向いていない生産者はかなり危うい。
慣れているから、ロスが少ないからと、作りやすい定番植物ばかり生産していれば消費者に飽きられます

ならば生産・販売側はどのように対処をすればよいのか。
それはもう、新しい植物の価値観や商品のアピールポイントをどんどん発していくしかありません。
むしろ定番化された植物の陳腐さ加減に気づかず、それら植物の魅力を消費者に伝えきれていない業者は、この先、「消費者」という新たなライバルに負けてしまいます

その植物をどのように楽しむのか。
または元来にない活用方法や観賞方法を見出し、かつ、現代の生活に合った栽培が可能な植物を絶えず送り出す
しかも断続的に。
これからの「プロ」はここまで取り組んでこそ「プロ」と言える…。
そんな時代になっていくような気がしてなりません。

第4種郵便という裏技

メルカリを使うまで知らなかったのですが、郵便には「第4種郵便」という発送方法があるのです。
運送業者各社の運賃が値上がりしてから久しい昨今。
かなりの格安で植物を送ることができるのです。

送ることができる内容と重さには制限がありますが、植物を送付する場合は知っていて損はありません。
そもそもメルカリには「第4種郵便」で送るという設定がありませんが、植物を扱うユーザーはほとんど、この方法を用いています。
しかも「抜き苗」発送が他も多数。
あるいは「カット苗」や葉挿し用の葉っぱだけを送るなどなど…。
重量を減らせばその分、料金も減らすことができる。
送料込みの低い価格設定の商品であれば、比較的買い手も付きやすいので、当たり前と言えば当たり前です。

ということで、メルカリの植物関係アイテムを俯瞰すれば、出てくるのは多肉植物のアラシ
ハオルシア、エケベリア、セダム、カランコエ、コノフィッツム…などなど。
上記の発送方法を考えれば、土がなかったり根もない状態にも耐えうる多肉植物が選ばれるのは至極当然のこと。
かつ、いまもまだ人気を席巻しているということでもあります。
加えて植物の球根や種子の取引も多いようです。

結論

植物の売買方法も時代によって少しずつ変わるようです。
数年前は特定の趣味家だけのみがコッソリ栽培していた植物が、いまやネットの普及により、その魅力に気が付いた人が珍奇な植物を求めています。
その流れはこれからも続くと僕は思います

情報が広く行き渡るようになったあと、モノも簡単に手に入れられるようになる。
そして手に入れたモノも、簡単に手放すことができるようになる。
その結果、「売る」という行為と「買う」という行為の境界線が曖昧になる…。
しかも個人個人の趣味嗜好は様々で、求める植物のバリエーションも多大となるのです。
もはや特定の植物の、特定の品種だけが流行するということはほとんどないでしょう。

そして僕の結論です。
特定の植物だけを栽培していれば、メシが食えた時代はとうに過ぎ去ってしまったのです…。

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