とある雑誌で花の研究している方の特集を読んだことがあります。実に地道な作業を繰り返す上に、何十年もかけなければ新品種を作出することができない…。
僕はこの特集を読んで、植物の世界、はたまた園芸の世界は1人の人生を限りなく呑み込んでしまう…。追求しようとも追及できないのだろうと感じました。たったひとつの属種でさえも。
趣味の園芸9月号で「植物偏愛主義」が終わる!?
園芸家をピックアップした読み物って少ない?
でも、こういった人にスポットライトを向けることって少ないですよね?ないわけではありませんが、専門雑誌でもなかなか登場しないのも事実。そこで僕はこういった「園芸のプロ」にもっと目を向けてみるのは面白いし、役に立つのでは?と考えています。
ひとくちに「園芸家」といっても、考え方は千差万別だし、そもそも栽培する植物もバラバラ。なのに、掘り下げると同じ水脈が流れていることの気が付きます。別々の観点なのに、読み進めていくうちに、その地下水脈を掘り当てられる。しかも、プロならではの秘儀を知ることができる。僕はそんな読み物が欲しいと思っています。
以前、当ブログでこんなことを書きました。
植物のプロは普段、どんな作業をしているのか。どんな思いを持って仕事を続けているのか…。植物を生業・趣味とするものだけでなく、一般人でも興味のあるところ。
(中略)
「職業論」的な部分を扱った本は、建築家のものは数多くあるけれど、なぜか園芸家にはあまりありません。著名な園芸家を何人か集めて、それぞれの仕事を追った本があれば、ぜひ読みたい…!
引用元:今号はサボテン・多肉植物特集!『趣味の園芸ビギナーズ』2016年1月~3月号を読んで…。 | ボタニカログ
建築家のほかに、デザイナー、医師、実業家…などなど。分野ごとにエキスパートを紹介している本はザラに存在します。が、なぜだか園芸家を取り扱った本になると探すのが大変…[*01]。
園芸家の生きざまをった特集「植物偏愛主義」
そんなことを考えている矢先、今年の4月からリニューアルした「趣味の園芸」テキストに「植物偏愛主義」というコーナーがスタートしたのです。
目次には「こだわりの園芸家の生きざまを見てみたい方へ」と記してあり、まさに読みたかったのはコレ!とページをめくります。
第1回目はランに魅せられたドクター・斉藤正博さん。たった2ページの中に園芸家の仕事が深く詰め込まれているのです。
1株ごとにカルテを作り、特徴や作業の記録をつける斉藤さんの植物との関わり方…。そうそう!まさにこういう部分を僕らは知りたいのです!!
ここから順に漫画家のタナカカツキさん、ブロガー&ガーデナーの遠藤昭さん[*02]、バラ愛好家の矢部薫さん、出版社「STRAIGHT」の川端正吾さんと小宮山秀明さんと続きます。
6回目は「SPECIES NURSERY」の藤川史雄さん
そして今回発行の9月号では、あの「SPECIES NURSERY」の藤川史雄さんがご登場。あらゆるイベントでご活躍され、まさに「珍奇植物」の伝道師ともいえる方。実は僕と生活圏が同じらしく、たま~に街中でお見掛けすることがあります(笑)。
今回の特集でもたった2ページの中に、藤川さんの植物に対する思いがギュッと詰まっていて、読み進めていくとドキドキしてしまう内容となっています。共感するところもあれば、参考にしたいところもあり…。もう少し掘り下げてほしいと思うのはきっと、僕だけではないはず(笑)。
突然の「植物偏愛主義」最終回。
しかし、目を凝らして読むと特集タイトルの横に何か書いてあるのです…。それは…
(最終回)
どうやら、植物偏愛主義の特集は今号で最後らしい。マジかよ。
ある意味ではこの「植物偏愛主義」が毎号楽しみで、だからこそ、リニューアル直後から定期購読してきたのですが…。残念極まりなし。
こうしてみると錚々たるメンバーというか、次代を先駆ける園芸家が登場しています。しかも、どちらかというとネット界隈で有名な人たち…。マニアックなところ突いているなぁなんて読んでいましたが、読者の方々はお気に召さなかったのでしょうか?
逆に言えば、たった2ページのなかにその人の人生をおさめるのも酷なハナシ。新企画は、もっと有益な内容を詰めようということ?それとも、単純に取材する労力がワリに合わなかったのでしょうか?
多くの園芸家の生きざまが1冊になったらいいのになぁ
おっと、いかん、いかん。ここらへんで詮索は終わりにしましょう。終了してしまうことに対して、僕らがどうすることもできません。
NHK出版さん。「植物偏愛主義」をもう少し掘り下げて、もっと多くの方を取材して、1冊の本か何かにしてくれませんかねぇ…(笑)。いや、NHK出版さんでなくてもいいです!誰か!誰かぁ~っ!!(笑)
仕方がない。それなら…(笑)。