この本が発刊されたとき、なんて実用的な専門書が出版されたのかと、感動したものです。
「飾る」ための本が巷にあふれていた
なぜなら、植物の栽培方法を謳って世に出回る本の多くが、実は可愛さやスタイリッシュさを狙っていたりするのです。よって、買ってみたらアレンジ方法[*01]など、栽培法とは関係のない、正直、使えない情報ばかりで後悔することも。
当時の僕は別のブログに、
巷に出回る植物の本というのは、
* 飾り方
* アレンジの仕方
* ある程度の育て方そして、
* ほんのちょっとの種類紹介
で終わってしまうものばかり。
植物の本って、全般的にそうですよね。
最悪なのは、本の前半分にドカドカと写真を掲載し、あたかも「現在、女子の間で○○植物が流行して~…」と装い、おまけ程度の扱いで、栽培方法を掲載する書籍。
読了後、何が言いたかったのか、よく分からない。
私はしょっちゅう、この類の本を買って損をしています(笑)。
さらに、幸か不幸か、本の口車に乗せられて、植物を育て始めても、すぐに枯らしてしまったり。
原因は?対策は?と本を読んでもよく分からない。
仕方なくネットで情報を探すも、信頼性に欠ける情報ばかり(お前が言うなという声が、耳元まで聞こえてきますが)。
結局のところ、深く栽培しようと思った時に、物足りなくなってしまう。
端的に言えば、手にする本のほとんどが実用的ではないのです。
と記しています。
この本が生まれた2012年当時は…。
この本が出版された2012年ごろは、ようやく多肉植物ブームが押し寄せて、爆発的に愛好者が増えたころ[*02]。そんな時代に現れたこの本は、ただただ実用的。
実用的すぎてオカタい感も否めませんが、だからこそ使えるのです。栽培法に飢えた、迷える栽培家たちを救ってくれたのがこの「多肉植物 (NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 )」であったと、僕は思います。
この本の内容について
この本の特徴
この本の特徴は、タイトルにもある通り、12か月を通して、どう多肉植物を管理していけばよいのかが書かれています。その基軸が、多肉植物の生長サイクルである「夏型」「春秋型」「冬型」別の栽培方法。そこからさらに「概要」「主な作業」「置き場」「水やり」「肥料」などに分け、主要な管理法も記載。つまり、3つの生長サイクルを12か月分に分け、それをまた細かく説明するといった構成です。
例を挙げれば、現在の時期(12月)のセダム(オーロラ)であれば
- 冬に向けて寒さに耐える準備に入る
- 耐寒性0℃なので、暖かい場所であれば戸外でも冬越しが可能かもしれない
- この時期に水を与えると寒さに弱くなる可能性があるので、基本的に水を与えない
- 肥料を施す必要はない
といった、基本的な栽培方法を、この本から、おおまかに知ることができるのです。それが1月~12月、それぞれカバーされているのです。
ということは、多肉植物と暮らすうえで手放せない本となること請け合い。僕自身も、昨年の作業[*03]を忘れがちなので、この本を度々確認します。
この本のお勧めしたい活用法
ここでこの本の活用方法を紹介します。確認したときに、大型の付箋などに日付と作業内容をメモ。これをその月ページに挟んだりして記録を書き入れて行けば、予習→トライ&エラーができるのです。
よって、この本を開けば管理している植物の作業内容はすぐ把握できるし、備忘録にもなる。そして、ミスを減らせて腕も上がります(笑)。
実用的であるからこそ、広くカバーできない
ただし、問題点を挙げるとするならば、この本の内容はいわば「ハード」面の情報。夏型の生育サイクルはこの季節ならこうしろといった情報はあるのですが、では、どの植物がどの生育サイクルにあたるのかは詳しく紹介されていません。
あるのは、巻頭と巻末に少し紹介されているだけ。例えば我が家のピアランサスの生育サイクルがどのようなものなのか、この本には掲載されていませんので、ほかの本を当たるか、ネットで調べるしかありません[*04]。
栽培方法に内容の重点を置いているせいか、各植物の紹介までを含むことができなかったのでは?と思います[*05]。
最後に
とはいえ、これほどまでに頼れる実用書はあまりありません。日々の栽培に寄り添ってくれる書物であり、使いだすとなかなか手放せない。価格もそれほど高くはありませんので、常備しておくのもお勧めですよ!それと、僕の活用方法も試してみてネ!