世界らん展2019へ行ってきました!で…、何が「変わった」の??

さてさて。
いまさらながら2019年2月に東京ドームで開催された「世界らん展」について、記録していこうと思います…!

変わった!?世界らん展2019を歩く

若い来場者を呼び込むためには?

昨年のことです。
「世界らん展」の運営母体が変わるという噂を聞き、勢いのまま投稿したこの記事。

あらゆる植物イベントに足を運ぶたびに耳にするのは、入場者減少のハナシ
近年、多くの大規模イベントが継続中止を余儀なくされたり、規模の縮小などが行われています。
ではなぜそんなことになっているのでしょうか。
僕が思うに、一定の年齢層だけのコミュニティが成立してしまい、ファンの再生産が行われてこなかったから
と同時に、多様化する趣味性に運営側がついて行けず、ファンへの訴求力が低下したからだと考えています。
そんなことに思いを巡らせているさなかに、「世界らん展」母体変更のニュースが飛び込んだのです…。

気が付けば多くの方に読んでいただけたようで、若干の反響もいただきました。
僕と同じ考えを持つ方が少なからずいらっしゃることも分かり、この記事を投稿して良かったと率直に思います。

で、2019年の世界らん展です。
一体、何が変わったのでしょうか…

平日でも多くの入場者

実は僕、今回の世界らん展では1日だけ仕事のために来て、翌日に個人的に回るという計2日間の参加でした。
仕事ではさすがに自由に会場を巡ることができなかったのですが、はじめて販売側に立ってみると嗚呼こんなにも大変なものなのかと思い知る場面も…。
ここでは詳しく書きませんが、ものすごく勉強になったのです!

そして2日目。
この日は朝から夕方までゆっくりと巡ることができ、大変充実した1日でした。
今記事はこの日をことを重点的に書き記してまいります。

まず感じたのは、平日にもかかわらず、大変な賑わいだったこと。
僕も何度か世界らん展には足を運んでいたのですが、最高潮の入場者数に思えました
どのブースを巡るのにも人ひとヒト…。
一概には言えませんが、リタイア世代以降の方が多くいらっしゃったように思います。

展示コーナーを歩く

まずは会場内をぐるりと回ります。
率直な感想では、例年と変わらない部分が基本としてあり、そこに付随して別の植物が入り込んでいるような印象を受けました。
そう、ベースは「世界らん展」であり、そこに少しずつ多様なお店や展示があるといった感じです。
例えるならこの場所。
今までの特設展示はランばかりでしたが、今年は食虫植物とランを掛け合わせた見ごたえある展示に。

食虫植物のなかにLEDライトを仕込んで、捕虫器の形状はユニークだね!と知らしめんとする工夫も。

食虫植物は徐々にファンが増えている注目の植物
栽培器具の開発も盛んで、各地で関連のイベントも見かけるようになりました。
そんな植物へいち早く焦点を当て、ランと絡めた展示には好感が持てます。

日本大賞のコーナー近辺には目の肥えた趣味人がカメラを片手に観賞。

そんな日本大賞が展示されている「シンボルロード」などは西畠清順さんがプロデュース。

ランとは違う、緑豊かな植栽が並ぶと荘厳な印象を受けます。
GreenSnapのインタビューで清順さんは、

主催者側の今までのらん展と変えたい、もっと若い年代の人たちにも来て欲しいという要望にも沿うように、「今までのパネルの前にランが並んでいたのをジャングルの中に並べたいな。」という話になりました。そのため、できるだけランが引き立つように、珍しい植物やカラーリングは一切使わず、花の咲かない植物を使うようにしました。


引用元: 【世界らん展2019 × GreenSnap】西畠清順さんへのインタビューや会場の様子をレポートします! 〜Vol.2〜|🍀GreenSnap(グリーンスナップ)

と語っています。
ただ、僕としてはそんな背景にある植物たちをもう少しフィーチャーしても良かったのでは?と思うのです。
だって、こんな樹形のガジュマル、面白過ぎです。

結局僕は、手前のランよりも後方のグリーンばかりが目に入ってしまう…(笑)。
これは逆に清順さんの目論見…なのでしょうか?

販売エリアを歩く

そして今回から新設されたのは「ボタニカルマーケット」というエリアです。
例年もこのような販売エリアはあったのですが、主にランの苗や切り花の販売がメインでした。
今回からは様々な種類の植物が販売されるのでは?と、開催前からネットなどで盛り上がっていたのです。

実際に足を運んでみました。
なかでも注目なのはココ。

GreenSnapの有名ユーザーさんたちが出店する「GreenSnap marche」では非常に多くの人で賑わいます

特に2日間も現場を目の当たりにしていると、SNSなどを介した交流の力強さを強烈に認識したのです。
作家さんのデコレーショングッズコーナーは常に人で混み合い、人気の多肉植物は飛ぶように売れている…。
これまでのらん展にはない、新しい価値観の旋風が東京ドームに吹いているように感じたのです。

その他、ボタニカルマーケット街道では、例年通りにバリエーション豊富でクオリティの高いラン販売。
…は言うまでもありませんが、加えて多肉植物や

食虫植物の販売もあり、

レベルの高い専門店が軒を連ねているのです。
ついつい僕も足を止め、予定になかった植物をポンポンと買ってしまう…。
そこで僕は思ったのです。
目に飛び込んでくる植物の情報が多過ぎて、脳の処理が追い付いていない!と…(笑)。

直感で「好き」「嫌い」を判断する!?

ひとつのカテゴリー内で行われる販売会では、複数の出店者があっても一定の範囲内でのみ植物が売買されます。
そのため、ある程度それらの植物を見慣れてくると「この植物はこのくらいの値段でこのくらいの希少さだ」と分かるようになっていきます。
けれど、あまりに種類が多いと、頭の切り替えが追い付かず、結果「フィーリング」のようなもので植物の品定めがはじまるのです。
でも、それは良いことなのかもしれません。

今の自分にとって、どんな植物が好きなのか、直感で判断ができるからです。

帰宅後、自らの購入品を眺めてみると、

  • 葉が派手
  • 花が派手
  • お手頃価格にしてレア

のどちらか2点が共通していることに気が付いたのです(笑)。

cattleya マイ サンシャイン 嬉々

多様な植物を横断してみることができたからこそ、自分の気づかなかった好みが顕在化され、こうして言葉にできたのです。
そしてまた、その「好き」を基準に、別のカテゴリーの植物へとトライすることができるのです。

これからの植物イベントはどう「ジャンルを超える」のか?

世界らん展の感想は?

ネット上ではこんな意見が交わされています。

様々な植物が居合わせる今回の世界らん展にたいして、おおむね賛同する意見が多いように思えます
というより、反対する意見を今のところ目にしていません…(笑)。

植物趣味の多様化を現実世界に

以前の記事に書いた通り、あらゆる情報が巡る現代において、多くの種類の植物が各メディアの画面上に表示されるのは至極必然のこと。
盆栽の雑誌を買えば盆栽だけ、園芸カタログには自社の商品だけ、母の日ギフトはカーネーションだけ…ではないのです。
あらゆる植物が「関連商品」として次から次へと立ち現われるのが現代のネットショップです。
インターネットの技術でも関連した情報が紐づけされて表示されるのは当たり前で、「こんな植物があるんだ!」という発見はネット上では日常茶飯事

そんな「当たり前」を現実世界で起こしたのが今回の世界らん展であったのだと僕は理解しています。
それだけ業界にインパクトを起こし、従来の手法では園芸に未来はないと気が付いた人も多かったはずです。
同じ業界で働く僕も、ただただ焦燥感に駆られるばかり…。
むしろこの時点で傍観している業界人はそれ以上の得策があるのか、らん展に行っただけなのか、はたまた行ってもいないのか…(笑)。

どちらにしろ、「多様化」の勢いは凄まじく、今後も注視していきたい要点です。

販売側に立って思ったこと

ということで、2日間の東京ドーム滞在はとても楽しく、新たな発見が多くありました。
販売側で感じた事柄もいつかお伝えできれば…と思うのですが、残念ながらブログを書く時間が少ないです。
大きな点としては、

  • 若い人はSNS映えも評価基準
  • 年齢層が高まると生活に溶け込む植物を求める。無理のない園芸、すなわち楽しい園芸
  • どこまでいっても信頼。それから積極性も重要

など。
その他にも反省点や気づいたことなど、大変勉強になりました!
来年も販売側に立てるか分かりませんが、是非とも次回も足を運んでみたいイベントです。

この記事を書いた人

mokutaro

植物好きが高じ鉢物業界に飛び込んだアラサー男子。群馬県に移住し、毎日、食べ(られ)ない嗜好性の強い植物とまみれています。 園芸を考えるブログ「ボタニカログ」を運営中。