ビッグバザールも!年間10回以上参加するボクが伝授する、植物イベントの歩き方

年間を通して、大なり小なりの規模を問わず様々な植物イベントが開催されます。まだそのようなイベントに足を運ばれていない方もいるかもしれませんが、植物のイベントは植物好きもそうでない人も大変楽しい。そこで植物イベントに行くメリットと、巡り方などをまとめてみます。

植物イベントって何?

植物イベントの種類

ひとくちに「植物イベント」といっても、いろいろな種類があります。大きく分けて「屋外型イベント」「屋内型イベント」「屋内外型イベント」があります。「屋外型」は雨天中止や決行があり、「屋内型」はほとんど天候の影響は受けません。「屋内外型」は屋外の会場などで行われる、一部のイベントが取りやめになる場合があります。

また、内容別に代表的なイベントを挙げると

  • 展示・品評会
  • 販売会
  • 講演会・講習会・セミナー
  • 農園散策・植樹祭
  • 食に関するイベント

などがあり、それぞれ複合して開催されることがあります。気になる植物イベントがある場合は、どんな催しが行われるのかをまずは調べてみましょう。

植物イベントに行くメリット

近年、SNSの発展やインドアグリーンの流行に伴って小規模な植物イベントが数多く開催されるようになりました。ここからは、日本全国で開催されるイベントに行くメリットを羅列してみます。

専門店が集まることが多い

植物の専門店は日本各地に多く存在します。インターネットが発展した今、自宅に居ながらも好きな植物を購入できる時代です。ところが、植物は規格化された製品とは違って形や品質にばらつきが多い。そのため自分の足でお店に行き、自分の目で植物を確かめた方が無難です。

ただし、先述の通り専門店は日本各地に点在しています。同じ地域の専門店をハシゴしたとしてもせいぜい3件まわれるかどうか…。

そんなときこそ、植物イベントに出向いてみてください。例えば「サボテン・多肉植物ビッグザール」などは、まさしく日本各地から有名店が集結し、街中の園芸店では見られないような珍しい植物が並びます。

だからこそ多くの人が集まるのです。たった1か所の会場で軽く5件以上のお店をまわれるのはやはり、植物イベントの醍醐味ではないでしょうか。

比較的安く商品が販売されることがある

これ、実は当たり前なハナシなのです。例えば、ホームセンターの園芸店で売られている園芸グッズは、園芸コーナーに来た人の目にしか触れません。目に触れなければ、購入してはもらえません。

ところが、園芸イベントへ参加する人のほとんどは「園芸趣味家」です。基本的にはホームセンターで売られている園芸グッズがいくらで売られているのかを把握しているし、その重要性をよく知っています。販売店側も、この機会を狙っていつも以上に利益が出るのなら、少しでも安くして大量に売りさばきます。そのうえアウトレット品や、卸しても一般的にはスルーされてしまう在庫など、普段は手に入らないマニアックな商品が、驚きの低価格で並ぶこともあります。

また、会場まで大量の商品を持ってきたのだから、帰路は荷物を少なくして帰りたい…。そう考えるのがヒトってものです。店側の思惑が外れ、売れ残りが多い場合、イベントの後半に大値引きを仕掛けることもあります。イベントの終了日が実は狙い目なのです。

ココだけのハナシですが、地方から食品を持ってきているお店は、イベント終了間近に安くすることが多いです。していなければ「美味しそうですね!あれ?今日って最終日ですよね。何時まででしたっけ」と意味ありげに聞いてみると良いかも(笑)。

プロから栽培情報などを教えてもらえる

植物の栽培に困ったら、プロに訊いてみるべきです。とはいうものの、近所に腕のいい栽培家さんや生産者さんがいるとは限りません。

植物イベントなら、某放送局に出演する先生や、あらゆる書籍を発行している先生にお目にかかることができます。運が良ければ、直接お話しできることも…。そんな機会に恵まれたのならぜひ、勇気を振り絞って相談してみてはいかがでしょうか。きっと、優しく分かりやすく教えてくれます。

photo credit: Caring for Orchids at the U.S. Botanic Garden via photopin (license)

僕も多肉植物をはじめたころは、イベントに行くたびに質問をしていました。いや、今でもよく聞きます。人によって微妙に栽培方法が違ったり、独特な栽培方法で成功されていたりと、それだけでも質問をする価値があります。

愛好家の展示品をみて「ゴール」を知る

植物イベントで愛好家さんなどが栽培した植物が展示されているのなら、ぜひ見るべきです。買い物目当てのお客さんが展示コーナーをスルーされるのをよく見かけます。そんな人は一体、これから購入しようとしている植物の最終形態を見ずして何を育てようというのでしょうか。

むしろ展示ブースがあってこそ、買い物ブースがあるのです。この株が大きくなったら、こんなになるんだ!と目標を持てるし、同じ種類の株を育てているのなら励みにもなります。初心者の方だと、展示されている植物の見方が最初は分からないかもしれませんが、自分の視点や独自の切り口でみてまわれば良いのです。きっと、大きな発見があるはず!

また、品評会も積極的に参加してみてください。開発した企業や生産者も様々な方からのあらゆる意見を欲しいのです。自分が選んだ植物が低評価でも、開発者にとってはその1票が大変重要なものなのです。

「植物を育てる」モチベーションが上がる

なんだかんだと書きましたが、やっぱり「植物を育てる」ことへのモチベーションがあがる。これに落ち着きます。

園芸という趣味はやればやるほど深くなるものではあるものの、どうしても停滞する時期があります。僕も1度、栽培している植物を大量に枯らし、意欲をなくしたことがあります。それでも植物のイベントへ足を運んだり、同好の仲間と励ましあい、情報を交換することは本当に意義の深いこと。

植物を趣味とする人の中で、植物のイベントに行ったことがある人と、ない人とでは、とても大きな差がつくのだと僕は考えます。その差とはつまり、危機的な状況のなかで踏ん張れるかどうか…

イベントでは「これを知らないとマズいよな」という情報がわりと多く飛び交います。さらにいえば、仲間の情報のないなかで植物を自力で栽培することは僕は不可能だと思います。どうしても独りよがりになって、思わぬ栽培法につまづくのです。

(ネットで情報を発信しているヤツがいうことではありませんが)僕の経験上、本やネットの情報よりも、人から伝え聞いた栽培法の成功率が圧倒的に高い。ネットの情報よりも経験の詰まった生きた情報がここぞというときに役に立ちます。

だからこそ僕は積極的にイベントへ足を運び、積極的にどう栽培するのか聞きまわるのです。

実践!植物イベントの歩き方

ここまでは植物イベントに足を運ぶメリットを記述してきました。ここからは実際にどうまわるべきか、僕なりの考えを紹介します。

配達ブースや配送店をチェック

イベント会場まで車で来れる場合は、さほど植物の損壊リスクは少ない[*01]のですが、電車の移動はそれなりのリスクが伴います。時間によっては通勤ラッシュにハマってしまい、背の高い植物を網棚に置くこともできず、とんでもない経験をしたという話を聞いたことがあります。それ以前に、他のお客さんにも迷惑ですよね…。

できれば移動にてこずる植物は、お金を払ってでも安全に自宅まで持ち帰りたい。

オススメはやはり宅配便。イベントによっては運送会社のブースが設置され、会場内で配送手続きが済んでしまうこともありますが、中・小規模イベントは自分で配送手続きを行う必要があります。

なので事前に会場付近の配送業者を調べておくと良いです。運送業者の支店に行けば、有料で段ボールも購入できます。さらには、プロに相談することで困難を伴う梱包をいとも簡単にこなしてくれます。小さくて揺れにも耐え、カバンに入りきるのなら、手荷物でも大丈夫かもしれませんが…。電車の中で植物を潰したり倒したりするのが嫌なら配送を選ぶのも有効な手段です。

混雑を考えてプロテクトカバンの用意を

このところ、植物イベントが人気です。インターネットが発達しSNSで瞬時に情報が発信される昨今、少しでも注目を浴びると多くの来場者で会場は埋まります。

そんなときに注意したいのは、購入済みの植物をどう扱うのか。人混みの中を購入済みの植物片手にウロつけば、やがて葉は取れ、枝は折れ、幹は曲がり…(;’∀’)。値段の高低に関わらず、損壊してしまったショックは大きいものです。

そのために、人混みでもある程度のショックを吸収できるようなカバンの持参をお勧めします。

僕は大きめのリュックサックに、分解した「鉢トレイ」を突っ込んでいます。鉢トレイに植物を入れた後、新聞紙などでプロテクトをすると、ある程度のショックには耐えはします。もちろん、なるべくリュックサックが人に当たらないようにするのが大前提ではありますが…。詳しくは以下のリンクよりご覧ください。

また、植物を購入した後はなるべくこまめにロッカーに入れに行くという方法もあります。大人数で参加できるのなら、どこか喫茶スペースなどに「保管所」を設け、見張り番を分担するという手も…。大規模な植物イベントでは、あらゆる手を尽くして上手に植物を購入しようとするツワモノが多数いらっしゃいます…。その人たちをよ~く観察すると、何か参考になることがあるかもしれませんよ[*02]!

植物購入キットを準備する

僕は植物イベントのたびに、「植物購入キット」を持参しています。用意するものは、

  • 新聞紙
  • セロハンテープ
  • はさみ
  • ティッシュペーパー
  • スプレー
  • 名札
  • ネームマーカー
  • レジ袋
  • 紙袋

などなど。使用方法など、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

最近はそれほど多くの植物を購入しないので、持参することも少なくなりました。どうしても必要な時は、百円ショップに駆け込んだり、コンビニで賄うこともできます。

読者さんの工夫でカスタマイズされると良いですよ!

展示イベントはなるべく開催期間初日付近を狙う

上記のメリットを踏まえて、買い物よりも展示品をじっくりみたい!という方はイベントの初日付近に足を運ぶべきです。植物は生きています。切り花であれ、鉢物であれ、植物を展示している環境は室内だったりして生育には適していません。時間が経てばコンディションが悪くなり、元気がなくなります。

特に海外から輸入し、ディスプレイしているブースなどは1週間を過ぎると見るも無残な姿になっています…。

基本的に展示品は、開催初日付近を狙って調整していることが多い[*03]ので、美しい姿形を望むのなら、開催日初日付近がオススメです。

その他に、レアな植物をゲットしたい場合も初日を狙うべき。人気の高い植物は一瞬で売れてしまうイベントも少なくありません。逆に言えば、買い物にさほど重点を置いていない場合は、開催期間中ごろや、混雑が落ち着く午後以降にゆっくりと巡るという方法も。イベントの目的に合わせてスケジュールを考えると良いかもしれません。

まずは会場を1周してみよう!あとMAPの確認も

会場に入ったら、はやる気持ちを抑えつつ、まずは何があるのか1度会場を巡ってみましょう。別に詳しくみる必要はありません。どこに何があるのかをざっと把握し、チェックしておけば無駄な体力を使わずに済みます。また、パンフレットが配布されている場合、会場案内のMAPに目を通すことも忘れずに

あとはチェックした場所を欲しい植物の優先順位別に回っていけばいいのです。

ただ、人気の高い植物を狙っている場合はまっさきに向かわないとなくなってしまうこともあります。その植物だけのためにイベントへ参加している方が多くいるのですから…。個人的には血眼になりながら周囲と競って買う植物は、様々な面でどうなのかなぁ…って思いますが。

運よく狙っている植物をゲットできたら、あとは気ままに会場をめぐってみてください。

最近では出店ブース側がどんな植物を売り出すのか予めSNSなどで発信していることがあります。その場合は前日などにチェックしておくと心にも体力的にも余裕が生まれます(笑)。その分、ライバルの数も増えるかもしれませんが…(;’∀’)。

パンフレットやポスターに注視する

イベントの規模に関わらず、会場内には掲示物が多く貼りだされます。おおまかには

  • 同系のイベント開催告知
  • 新商品の案内
  • 同好会の案内
  • 資格試験の案内
  • 各団体の取り組み報告
  • 植物に関連する施設の紹介

などが挙げられます。そのうち重要視したいのは、ほかのイベント案内団体の取り組み報告

イベント案内は言わずもがななのですが、新開催のイベントなどを告知していることがあるので要チェック。団体の取り組み報告は、どんな植物を保全しているのかや、学生が作出している植物は何かという点をよく見ます。

保全については、自宅で栽培の協力を求めている団体もあり、興味があれば応募も可能です。ひとつの植物を多くの人で支え活動するというイベントは、勉強にもなるし、ちゃんと育てなくてはいけないという使命感が湧きます。次のイベントでどんな栽培法で成功したのか、他の方がこと細かく報告することもあるので、それもまた勉強になるのです。

気になる商品があったらとりあえずメモる

これはよくあるハナシ。植物イベントや、そもそも植物にさえ慣れていないとき、どの商品も同じに見えてしまいます。さらにはあちこちのブースで似たような植物が売られているので、右往左往しているうちに時間ばかりが過ぎていく…なんてことも。

そんなときは、小さなメモに

  • 名前
  • 金額
  • 大きさ
  • 花の色や葉の特徴

などを記しておきましょう。案外、別のブースで同じような植物が、狙っていたお店の半額以下で売られるていることも。慌てて買う前に、とりあえずメモる習慣をつけておくと、失敗を未然に防げます

大規模イベントブースで目立つ場所にあるのは「初心者向け」商品

1度の開催で何千人もの人を集客するイベントでは、出店者もどんなお客さんが来るか心得ています。そのため、大きなイベントであればあるほど、新規のお客さんが多いので、目立つところに初心者向けで、派手目な植物を置くことが良くあります

初心者の方で何を買うか迷っているときは、まずは目についた派手目な植物を探してみてください。そしてそのあと、店員の方に栽培方法や初心者向けの商品化どうか確認してください。

もしもそれが、初心者でも栽培できる植物であるのなら、購入しても損はないかもしれません。なぜなら、お店が推薦している商品だからです。

逆に小・中規模なら「珍しい玄人向け」商品が並ぶ

逆にイベントの規模が小さい場合、目立つ場所にある植物は珍しい植物や、栽培の難しい高価な植物である可能性も。小さなイベントに集うのはマニアックな方や、昔から参加している常連さん。そんな人たちのために店側はとっておきのマニアック商品を並べます。でないと、目の肥えたお客さんを逃してしまうから…。

初心者なら、まずは率直に初心者向けの植物を教えてもらいましょう

植物イベントをめぐる心構え

ここからは植物イベントをめぐるための心構えと注意点。

予算決めは必須。…だけど

植物イベントに参加すると、どうしても雰囲気にのまれて買いすぎてしまうことも…。そんなときにはしっかりと予算を決めておきましょう。特に次回のイベント開催時でも購入ができそうな植物やグッズは、優先順位を低くすると後で後悔しないかも…(笑)。

ただ「植物との出会いは一期一会」。もう同じ植物とは出会わないことがほとんどです。思い切って大枚をはたくのもときに仕方のないこと…。あとは白い目で見る家人に誠心誠意、謝罪しましょう(笑)。

トイレでメンテナンスをするな!

とある植物イベントに行ったときのこと。用を足そうと様式便所へ駆け込むと、床に土が散乱していたことがあります。もしや、トイレで梱包作業やちょっとしたメンテナンスをしたのでは?という場面に遭遇しました。

同好の趣味を持つものとしてとても不愉快だし、その場所を掃除する人も大変です。もっとも、トイレを詰まらせてしまえば大迷惑…。その人のおかげで、次回の植物イベントが開催されなくなったら、多くの人の楽しみを奪うことになりかねません。

まず、梱包作業を行う場所は、なるべく屋外の公園や、他の人の邪魔にならない場所で行うこと。そして発生してしまったゴミは、きちんと持ち帰ること。それができないのなら、植物を買う資格はありません。

体調が優れないのなら進んで参加を取りやめよう!

あと、これも重要です。他人事ではないのですが、会場で体調を崩す人がいます。僕の場合、混雑が見込まれるイベントはかなり注意深くSNSなどで動向を探ります。大混雑をして炎天下のなか行列待機…なんてことに巻き込まれたくはありませんので。もし、混雑がひと段落する日時が判明しているのなら、なるべくその期日に行きましょう

無理して行くことはありません。会場までのストローク、植物のための熱意で興奮し、具合の悪さも脳内物質で吹き飛んでいることがありますが、少しでも体調不良を感じたら引き返しましょう。あるいは、どこかで休憩をとりましょう

ちなみに僕は、どんなイベントでも水分は持参し、休憩できるポイントを探してから会場入りします。さらに休憩スポットのないイベントは参加すべきかそうでないのか、判断に躊躇します。

その他、前日に飲みすぎた場合寝不足の場合は、話題のイベントをスルーするし、欲しい植物があっても我慢する。体力が尽きて倒れて、嫌な思い出にはしたくはないので…。いくら運営側に冷房が効かない、入場制限があるなどの落ち度があっても、そこは自分にも責任があります

楽しい「植物イベント」で参加者も運営側も終わらせたいものです。

人によって違う植物イベントの「歩き方」

こんな感じで、僕なりの意見を羅列しましたが、あくまでも僕の経験から導き出した「歩き方」です。他にもイベントによってどう動けばいいのか変わってくるし、人によっても違いがあるかもしれません。そんなときは各自カスタマイズし、今後の植物イベントをエンジョイしてみてはいかがでしょうか!

  1. とはいっても、カーブで倒れる、ブレーキではねるなどアクシデントはつきもの。車で植物を移動する場合はレジャーシートやコンテナを用意するなど万全の体制を。 []
  2. お店の人と仲良くなって、人が立ち入らないブースに植物を保管するという猛者もいる []
  3. 開催日前日に品評会があったりする []

この記事を書いた人

mokutaro

植物好きが高じ鉢物業界に飛び込んだアラサー男子。群馬県に移住し、毎日、食べ(られ)ない嗜好性の強い植物とまみれています。 園芸を考えるブログ「ボタニカログ」を運営中。