趣味の園芸『柳生流多肉植物の寄せ植え』を観る前に。柳生真吾さんと多肉植物、そして寄せ植えのコト

再放送を観ました。「趣味の園芸アーカイブ選」2000年10月15日放送の柳生真吾流・多肉植物の寄せ植えの回です。

『アーカイブ選 柳生流 多肉植物の寄せ植え』を観る!

放送をひとことで説明するなら、柳生真吾さんが実演しながら、多肉植物を寄せ植えをつくる…というもの。テレビ画面にはこんもりと多肉植物が植わった装飾品が映し出され、カラフルに彩られた寄せ植えは本当に可愛い。しかも簡単につくれてしまう!

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植えつけるものは食器だっていい。水やりも月に数回程度でメンテナンスも楽チン。これから寒くなる季節には紅葉して鮮やかに発色しますよ…。簡潔にまとめれば、そんなワクワクしてしまう内容でした。

柳生真吾さんと多肉植物、そのきっかけ

さて。放送を観た方、あるいはこれから観られるという方へ。

なぜ、柳生真吾さんが多肉植物へ興味を持ったのか。そしてなぜ、寄せ植えなのか。そんなバックグラウンドを知りながら観ればまた違った印象を受けるはずです。このエントリーでは僕の知っている限り、記しておこうと思います。

まず、柳生真吾さんが多肉植物と出会ったところから。

僕が初めて多肉植物に出会ったのは、今から10年以上も前。やはり園芸の師匠のところでです。初めて見たときの印象は、「なんだこの生き物は!」正直言って最初は興味もなかったし、気持ち悪かった。

引用元:柳生真吾の八ケ岳だより―だから園芸はやめられない

園芸の師匠とは恐らく、タナベナーセリーの田辺正則さん。田辺さんとの対談でも、

柳生 以前は、多肉植物に凝ってらっしゃいましたよね。

田辺 多肉植物とのつきあいは二十年以上だね。この仕事を始めたときから興味があって、一時期は児玉永吉さん(多肉植物栽培家)の家に通い詰めたほど。とにかくたくさんの種類を育てていたんだけど、そのうちあまりおもしろみが感じられなくなって、しらばくは植えっぱなしの状態だったな。

柳生 僕が来たときは、すでに田辺さんの中では多肉ブームが去ったあとだったんですね。でも、温室一面に、見たことがない色とりどりの葉っぱが並んでいるのを見て、「なんじゃこれは!」とびっくりしたんです。今まで見たこともない植物がこんなにたくさんある!って。

引用元:柳生真吾と25人の達人 (NHK趣味の園芸)

それ以降、柳生さんは多肉植物を好きになっていくのです。

なぜ好きになったかというと、多肉植物は、ほかの植物にできないことができるからです。ほかの植物では絶対に植えられない少量の土で育つ、絶対に枯れてしまう水の量で生き続ける、絶対に植えられない場所に植えられる。

(中略)

極端にいえば、何にでも植えられる。例えば屋根の上、看板、壁、流木、石……。葉の色だって、使いたいと思う色はみんなそろっている。そして、簡単に挿し木ができる、となれば、アイデアしだいです。

引用元:柳生真吾の八ケ岳だより―だから園芸はやめられない

番組でも、柳生さんは同じようなことを仰られていました。表札にだって、鳥の巣箱にだって、あらゆる場所に植えられた多肉植物の寄せ植えを披露しています。

多肉植物を寄せ植えにする理由

では、なぜ「寄せ植え」なのか。これについても、田辺さんとの対談で柳生さんが寄せ植えをつくる理由が語られています。

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柳生さんの師匠である田辺さんは、八ヶ岳に行くようになって、単一の植物だけを育てることは、不自然であると感じるようになったそう。

「山にはたくさんの植物は生えているからね。鉢の中で一種類だけ育てることがすごく不自然なことのように思えた。それで、寄せ植えをやるようになったんだよ。」

ここから田辺さんと柳生さんが植物を「寄せ植え」にする意義について語られます。

柳生 そう、田辺さんとの作業は不思議なくらい疲れないんです。毎日植えこんでいるうちに、「寄せ植えというのは植物にとって理にかなった育て方なんだ」という田辺さんの言葉が、実感としてわかってきたんですよね。

田辺 自然環境の中で、一つだけで生えている植物なんてないからね。鉢植えで一つずつ育てるよりも、寄せ植えにしたほうが競争しあうからずっと成長がいいんだよ。植えつけて時間がたつほど、なじんで美しくなってくる。ただし、同じ環境を好む植物同士でないと、合わない植物はすぐに消えてしまうけどね。

管理するにも、大きな鉢に植えれば水やりが楽だし、季節ごとに一年草を植えかえれば、その作業のときにほかの植物の根も切れる。そうすると活性化して元気になる。いいことずくめだよね。

引用元:柳生真吾と25人の達人 (NHK趣味の園芸)

寄せ植えの効能は番組で語られることはありませんでしたが、そう言われてみれば理にかなう部分もあるなぁと気が付きます。寄せ植えの鉢の中で植物が競争しているというのは何となく思い当たる節も…。

これらのことを踏まえて番組を観てみれば、より一層楽しめるのではないかと思います。

番組に出てくる多肉植物、いまでは…

今ではホームセンターや街の園芸店でも、容易に手に入る多肉植物。この放送当時は、大きな園芸店や専門店に行かないと手に入れることができなかったり、売っていたとしてもバリエーションが限られていたり…。そんな状況だったのではないでしょうか。

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そう思うと、番組に出てきた多肉植物のラインナップは、ここ数年でより身近なものになっています。いや、それ以上に発展しつつあります。僕自身、たった10数分の内容でもいくつか気が付いた点がありましたよ…。

再放送は本日21時からNHKのEテレで!お見逃しなく。

参考資料

この記事を書いた人

mokutaro

植物好きが高じ鉢物業界に飛び込んだアラサー男子。群馬県に移住し、毎日、食べ(られ)ない嗜好性の強い植物とまみれています。 園芸を考えるブログ「ボタニカログ」を運営中。