サボテン・多肉植物ビッグバザールに投げかけられた問題提起を読んで。いま、僕ら参加者ができることを考えてみた。

なんだかんだ、いろいろな意見がありますが、僕はこのイベントが好きです。だからこそ、1人のこのイベントのファンとして、書いてみます。

記事を書いて、公開しようか数日間逡巡しました。でも、楽しみたいイベントであるからこそ、アップします[*01]。

@wataru_bell3さんの投稿から投げかけられた問い

先日開催された『夏のサボテン・多肉植物ビッグバザール2016』。回を重ねるごとに「暑い!」とか「大混雑!」などという意見をよく目にするようになりました。はじめて行かれる方への参考にもなるように、心構え的なものも記しておこうと思います。

まずは@wataru_bell3さんの投稿を読んでみてください

さて、サボテン・多肉植物ビッグバザールが終わった後、ビッグバザールの運営に関する投稿を目にしました。


デリケートな問題については、詳しくここでは述べません。@wataru_bell3さんの投稿を読んでください

冒頭の問いかけについて、僕としては起こるべくして起きたのだと感じます。

葉隠の術2

ここからは@wataru_bell3さんの問題提起に従って僕なりの思うところを書いていきます。

熱問題

夏はもちろんのこと、冬ですら会場が非常に暑くなるのです。今回の会場の温度と湿度を計測された方がいたようで、こんなツイートも…。

きっと「マニアの情熱で温度が高くなっているんだ」と笑っていましたが、先述のブログにあった出来事を読んで笑い事ではないのだと感じた次第です。

ビッグバザールの常連さんであれば、会場が思いのほか暑くなり、発汗もすることから、冬でもすぐに薄着になれるよう工夫されている方は多いのでは。その点、はじめて参加される方には留意してほしいところ。

実は僕も「明日はビッグバザールだ!」と興奮して、前夜に眠れないこともあったりして、よく会場でクラクラしています…。そのため、人混みもそれほど多くない午後から参加し、水分は必ず持っていきます

セリになると椅子席が埋まってしまうので、体調に異変を感じたら、すぐに会場を出ましょう。多肉植物がなくなる焦燥感を抑え、ひとまず涼しい場所でクールダウンするべきです。僕も疲れたら、とりあえず会場の外で休んでいます。

葉隠の術

会場の空調について、午前中に参加すると効いてないのかな?というくらい暑いし、すでにある程度の手は打たれているみたいなので、自己防衛するしかなさそうです…。

また、体調がすぐれない場合は参加をパスしたほうが良いかも。五反田駅からTOCビルまでのストロークを歩くのに「キツい」と感じたら、それは引き返すべきです。

待機列問題①
流行の植物のために並ぶってミーハー臭くないですか?

会場前に列ができるほど人気になったのは最近のことではないでしょうか?午後なら若干、混雑が緩和されていることに気が付いて以来、僕は午後に行くようにしています。

そのため、いまだ待機列に並んだことはありません

良く聞くのは「お目当ての植物がある場合は、並ばないとすぐに無くなっちゃうから」という意見。幸いなことに、すぐに売り切れてしまうような植物を蒐集していないため、そういった焦りを感じたことは特にありません[*02]。

また、「植物との出会いは一期一会」が僕のポリシー。どんな時間から参加しようが、そこで出会った植物を眺め、納得いくまで悩み、ようやく購入に踏み切ります。その間に会場内では、もっと安く、もっと品質の良い同じ植物がほかの人に購入されているかもしれません。けれど、それでも構いません。

高額で希少な植物を転売して、ただ儲けるだけの人にとっては死活問題なのかもしれません。が、「植物と暮らす」ことが本義であるなら時間をかけてゆっくりと集めていったほうが良いです。

それを踏まえ、批判を承知で敢えて書きますが、並んでまで多肉植物を買うのって、ミーハー臭くて、ダサくないですか?

いや、これは説明しないといけません。実は僕も、朝早くにビッグバザールに並んで植物を買い求めるって、多肉植物を愛好する者なら一種のステータスだろうと、そんな憧れを抱いていたのも事実です。そしてレアな植物をゲットするって、多肉植物を「やってる」感があるよなぁ…と。

しかし、仕事や私生活で一般の農家さんや、園芸家さんの話を聞くと、実は植物に対して過度に熱中する人っていません。むしろゆっくり植物と深く向き合い、試行錯誤を繰り返していく… [*03]。

DSC_2039

僕が出会った人たちは、偶然手に入れた植物から交配して立派なものをつくったり、譲ってもらった植物を大株に仕立てたりと、特定の植物への欲求は少ないように思えます。にもかかわらず、長い時間をかけて、誰もが羨むような植物を手に入れたりするのです…。開場とともにダッシュで、短時間に植物を買い求める人よりも、自分が納得できるまで時間をかけて、日々、植物を作るひとのほうがカッコいいと僕は思います。

きっと、一生をかけて植物と付き合っていこうとする人なら、血眼になって植物を求めることなどはしないはず。欲しかった植物を手に入れられなかったとしても、またいつか、どこかで出会える。そんな気概を持つ人が真の「植物と暮らす」人なのだと思います。そして僕も、そんなふうにありたいと思っています。

待機列問題②
「趣味は園芸」ということの真意

多肉植物を始めた頃、神奈川県のとある老齢の生産者さんから「植物をはじめるの?それならゆっくり集めなさい。なぜなら、一生付き合える趣味だからね」とお話をいただいたことがあります。なぜ、いきなりそんなことを言い出すのか、当時はわかりませんでした。

ですが、今となっては、一気に植物を集めてしまうと、環境の変化や病気などで一気に枯らす…。あるいは急激に植物を集めた分、飽きがくるのも早くなる…、という意味だったのだと理解しています[*04]。

流行に乗って植物をはじめることを決して悪いとは言いません。むしろ、同好の仲間が増えることなので歓迎すべきです。

しかし、ブームが落ち着いてから管理に困り、簡単に枯らす、あるいは捨てたりするのはいかがなものかと…。大量に集めてしまった初心者の方なら、なおさら問題です。

まだ植物をはじめたばかりの方は、会場を巡って、たまたま出会った植物をゆっくり、じっくり観察して、長いあいだ付き合っていける!と決めた植物だけ買ってくればいい。そうすれば引っ越しにも困らないし、最悪、数鉢なら引き取り手が見つかるかもしれません。

名前だけで買うのは、それこそミーハー臭くて、ダサいですよね。

前回の投稿にも記しましたが、多肉植物のブームもそろそろピークを過ぎる頃。これからは本当に植物が好きな人だけが残るはず。「一生付き合える趣味」という深くて重い意味に気付いた人だけが残るはずです。そのときには「趣味は園芸」=「植物と暮らす」ということの真意が分かる人たちが集うようになればと願っています。

場内混雑問題

サボテン・多肉植物ビッグバザールの会場の混み具合は激烈です。肘が当たる、足を踏まれるなどは序の口。誰かのカバンに押されて倒れそうになったり、わざと肩をぶつけて歩く人もいます。

@wataru_bell3さんの言う通り、ここは主催者側の問題[*05]もさることながら、僕ら参加者の意識が問われる場面です。愛好者が集まるイベントなので、楽しく、いい思い出として終わりたいのは言うまでもありません。

P6120160

さて、会場が大混雑しているときに問題となるのは、植物の保護。購入した植物が人の波に晒されるわけで、いかにプロテクトするのかが重要になります。

まだ参加したことがない人のために説明すると、植物を買ったら、鉢を新聞紙などにくるんでビニール袋に入った状態の物を受け取ることが多いです。ビニール袋に入った植物はかなり不安定で、袋の中で勝手に倒れたりします。

また、大量に植物を買ってしまうと、両手にそれらを持っていないといけないので、持ち運びに苦労するし、邪魔です…。

そんな状態で会場をまわると人やモノに当たり、植物は平気で枝が折れ、新芽が取れ、鉢から抜け、形が崩れます(笑)。そうならないために鉢トレイなどの容器で固定し、軽く人に当たっても難を凌げるくらいのリュックに入れる…。そんな梱包・運搬術をお勧めします

他にも各自、工夫されている方がいるかとおもいます。そんな方は、各自ブログなどでのご教授をお願いします。

以上、@wataru_bell3さんの問いかけに関して思うところを羅列していきました。

その他、ビッグバザールについてよく耳にする問い

入場券なくなっちゃった問題

その他にも、ちょっと言いたいことがあります。まずは、前回のビッグバザールの時にも書いた「入場券問題」

入場券は今回も貰えませんでした。けれど前回とは違い、スタッフの女性の方が積極的に「券がなくなってしまいました!ご自由に出入りできますよ!」と声かけをされていました。

それならOK。前よりも改善されていますね!…ということにはなりません。むしろ、運営側に危機感はないのかなぁという、ちょっと残念な気持ちになりました

僕のビッグバザールの歴史は、運搬の歴史といっても過言ではない(笑)
僕のビッグバザールの歴史は、入場券で振り返ることができる…はずだった(笑)

ビッグバザールの入場料は500円。正直、高くもないし、安くもない。きっと、入場された全員の方が入場料を支払っているとは思いますが、中には悪い考えを持っている人がいないとも言えません。

また、ちゃんと支払っているのに、会場を出入りしたがために疑われてしまっては誰も何も得をしません…。

そこで提案です。この際、参加者が自慢できるようなチケットを作ってみてはいかがですか?

印刷技術の機械化&ドローイングソフトの発達した現代では、上質なチケットをプリントしてくれるサービスはゴマンとあります。しかも、オフセット印刷であれば刷れば刷るほど低価格に…

さらに、そんなチケットがあれば「ビッグバザールに行ってきたよ~」とSNSにチケットの写真をアップし、さらなる広告効果が見込めると僕は思うのですが。もっとも、メモ用紙にスタンプを押したものよりは捨てられず、記念にはなるのではないでしょうか。

ビッグバザールの商品が高額!?問題

以前、こんなコメントを頂いたことがあります。

「ビッグバザールは価格が安くないと聞きます。爬虫類のイベントでは〈イベント価格〉という商習慣があって、通常の店舗で売る価格よりも安く売るのがスタンダードになっています」

というもの。そのときはなるほどなぁと感じました。確かにビッグバザールでは一般の市場で購入するよりも、ちょっと高い。その理由を考えて(憶測ではありますが)僕はこう思ったのです。

金額に関しては、他のお店では買えない珍しい植物が多いため、価格が高いと感じることがあります。
また、ブームのために価格が高騰している植物があるのも否めません。
出せば必ず売れるので、ついつい高値を付けてしまうのかもしれませんね…。
恐らく、現在のビッグバザールの方向性としては、珍しい植物や、他では買えない美しい植物を売る、という暗黙のイベント趣旨があって、
どこでも買えるような植物に安売りポップを貼って売るような形式は考えていないとも思います。
(個人的な感覚でいえば、サボタニの商習慣は1950年代のブーム以降ずっとコレのような気もします…(笑))

そのうえで、

初心者の方が行かれると驚かれることがあるかもしれません。
ただ、こんな植物があるんだ、いずれは挑戦してみようなどと、ポジティブな面で捉えるとグッと面白くなります。
長くなりましたが、夏以降は是非、参加してみてはいかがでしょうか?

とコメントを返答しました。つまり、あまり市場には流通しない植物がビッグバザールでは数多く並ぶため、その分、レアな付加価値を伴い、高額になるのでは?と。

P6120106

けれど最近では、一般に出回る植物でさえも高い印象を受けます…。イベント名に「ビッグ」と冠する以上、価格もビッグなのかもしれません(笑)。…という冗談はさておき、そこは仕方がないのかなぁと思います。

多肉植物など珍奇植物が注目され、流行しているからには、価格が上がるのは当然のこと。

また、ビッグバザールに集まるお客さんも目が肥えています。品質の良い株を持ち込んで、ある意味、ほかのお店と競い合うように出店しています。見て回れば、トータル的に品質が良いか悪いか、初心者の方でもすぐにわかるかと思います。比例して、価格の高いお店は品質も良く、一般的にあまりみたことのない植物が置いてあるかと思います

ただし、ブームがひと段落すれば、多少の高騰は落ち着くのではないでしょうか。みなさんが感じているように、もう少し、気軽に植物を買うことができたら良いですね!

最後に

なんだかんだと書いてしまいましたが、冒頭でも述べた通り、僕はこのイベントが大好き。継続して開催される以上、僕もなるべく参加したいと思っています。

葉隠の術3

また、多肉植物ブームが過ぎたとしても、イベントにはその後も発展を続けてほしいとも思います。なので、厳しいことも書きましたが改善されることを願います。

さらに、@wataru_bell3さんのように問いかけられた疑問をそのまま否定するのは良くないです。常連のファンであるのなら、まずは自分のアタマでどうすればいいのか方策を考えてみる。そして誰かと意見を交わしてみる…。そうすることで何かが変わっていくかもしれません。思いもよらないところから知恵が湧くかもしれません。

いま僕ら参加者ができることは、まずは考えてみる、議論をする。そして、意見する。過度なクレームではなく、みんなが楽しめるように、発展できるように、ポジティブに…。そのうえで、まずは僕ら参加者ができることを挙げてみたつもりです。

大好きなビッグバザールです。今後、何も変わることがなくても、楽しい思い出とともに会場を後にしたいですから。

そして、強調して言いたいのは、基本的にサボテン・多肉植物ビッグバザールは楽しいイベントです。だから混雑するのです。まだ行かれていない方は、万全の体調と準備のうえ、足を運んでみてはいかがでしょうか

  1. お前、どの立場からモノを言ってるんだよとのお叱りを覚悟のうえです… []
  2. ひとつ上げるとするなら、2009年の初参加のときだけ。このときは会場にどんな植物があるのか、どんな割合でどの種類の植物があるのか見当もつきませんでしたから。今ではあの植物があるだろう、この植物は少ないだろうというおおよその予想ができるようになったので、あんな植物があったら買ってこようかな?というくらいです []
  3. 日々、植物と向き合うことが仕事だからか、たぶん植物への思いは強いまま一定なのかもしれません []
  4. ちなみに僕も植物を一気に集めたくなってしまうタイプ。けれど自分のミスでほとんどの植物を枯らしそうになったことがあります。多くの時間やお金をかけてきた植物が一気に消滅するのは筆舌に尽くしがたいものがあります。植物を育てることを始めるなら、ゆっくりと、そして失敗しても被害がないくらいのペースがちょうどいいのだと思います。このあたり、植物生産者さんの言う通りです。 []
  5. 会場を広い場所に変えるなど []

この記事を書いた人

mokutaro

植物好きが高じ鉢物業界に飛び込んだアラサー男子。群馬県に移住し、毎日、食べ(られ)ない嗜好性の強い植物とまみれています。 園芸を考えるブログ「ボタニカログ」を運営中。