南アフリカの球根に絶賛ゾッコン中!そのキッカケは「オーニソガラム・ダビウム」。

球根植物との出会いから冬の楽しみ方が変わる

「冬は不毛の季節」だと思っていた

冬が近づくとどこか気分が滅入る時期がありました。
そのわけは「冬は不毛の季節」だと、心の片隅にいつもあったから。

その頃、僕の育てている多肉植物の大半がベンケイソウ科などの春秋型
冬になると生長が鈍り、水遣りなどの手入れも少なくなる。
つまり、植物とのコミュニケーションが図れなくなり、冬はどこかつまらない季節だと感じていたのです。

ところが…。

特売品!オーニソガラム・ダビウムオレンジ!!

いまから数年前のこと。
仕事終わりに、とあるスーパーへ立ち寄りました。
いつもはチラッとみては通り過ぎる「植物コーナー」にたいへん目を引くオレンジ色の鉢花が置いてあったのです。

金額は800円から割引の400円(税込み)。
株の立ち方から球根植物ではないか?と思い、とくに何も考えずに購入。
それは2月も終わる頃でした。

帰宅後、植物の名前を調べてみると「オーニソガラム・ダビウム」という南アフリカが原生の球根植物だと判明。

オーニソガラムはヨーロッパ、アジアに産する耐寒性種と、南アフリカに産する半耐寒性種があり、100種類を超える仲間をもつ大きな一属の植物です。

日本へは、早いものは明治末期から大正初期に渡来しています。割合に古くから丈夫な秋植え球根として「アラビカム」や「ウンベラータム」などが売られていますが、知名度は低く、誰もがよく知っている秋植え球根とはいえませんでした。近年オランダから「シレソイデス」の切り花が輸入されると、純白の穂状に咲く花もちのよい花はウエディングフラワーや、アレンジメント用に急速に人気が高まり、現在ではよく知られた、なくてはならない花のひとつになっています。

また、「シレソイデス」に似た花形の「ダビウム」は、黄色や橙色などの鮮明な花色で人気です。「ダビウム」は、鉢植えとしても作りやすく、花がそろって開花するので、見栄えもよく、簡単に栽培でき、一カ月以上花を咲かせるのも魅力です。

※ 太字筆者

引用元: オーニソガラムの育て方・栽培方法|失敗しない栽培レッスン(花の育て方)|サカタのタネ 家庭菜園・園芸情報サイト 園芸通信

促成栽培を施されているのか、4月~6月の花期ではない2月下旬に花を咲かせているのです。
特売価格だし、花の見ごろもすぐに終わるのかな?と思いきや、それから1週間ほどにかけて次々と花を開かせ、大変楽しめたのです。

実はオーニソガラム・ダビウムは切り花としての需要もあるのだとか。

確かに小さく可憐な花がほろほろと咲く様は存在感たっぷり
花束にちょこっと添えてあればそれだけで、黄色やオレンジ色の花が元気を与えてくれそうです。

一部の球根植物は比較的、管理がラク

さて、本題。

こんなに可愛い花ですが、鉢花としての管理がものすごいラク

ポイントを挙げると、

  • 水やり頻度が多肉植物に準ずる
  • 開花してからの観賞期間がそれなりに長い
  • 管理が容易。翌年も容易に花を咲かせることができる

こと。
そして最大の利点は、

一部の秋植え球根であれば夏の間、一切の管理がない

ということです。

水やり頻度が多肉植物に準ずる

あらゆる鉢花は基本、水やりの頻度が多く、水が切れると即座に萎れます…。
また、乾燥に強い植物であっても花を咲かせることが難しかったり、花を咲かせても小さく、観賞に堪えない場合も。

ところが「オーニソガラム・ダビウム」は多忙を極める現代人の生活にマッチするくらい、水遣り頻度が少なめでOKなのです。
成長期に、鉢の土が乾いているのを見つけた時点で水を与えれば良し。
例えるのなら、冬型の多肉植物と栽培方法が似ています

この栽培法、オーニソガラム・ダビウムに限った話ではなく、あらゆる球根植物、特に注目が及んでいる「ケープバルブ」などにも当てはまるような気がするのです。

なぜ、ケープバルブが人気なのか

「ケープバルブ」とは、主に南アフリカのケープ地方に自生する球根植物群のこと。
特徴的なねじれた葉を持っていたり、思いもよらぬ可憐な花を咲かせたりとそのフォルムはまさに魅惑的。
そのうえ、適切な管理を施していれば強健で、栽培における難易度も高くはありません。

さらに、ある種のケープバルブでは球根を露出させ、如何に大きくさせるのかを楽しむ「コーデックス(根や茎を太らせることに重きを置く)」的な栽培もできたりします。
つまり、栽培における楽しみ方がいくつも存在し、多くの人を魅了するポイントとなっています。

開花してからの観賞期間がそれなりに長い

そんなオーニソガラム・ダビウムに出会ってから以降、いくつかのケープバルブと呼ばれる植物を栽培してみました。
ケープバルブのサイトや図鑑を読んだりして、気になった植物を取り寄せてみたのです。

  • ゲイソリザ・ラディアンス
  • ゲイソリザ・コルガータ
  • ラペイロージア・シレノイデス
  • ラケナリア・コードリカラー
  • バビアナ・セデルベルゲンシス

などなど…。

定番のゲイソリザ・ラディアンス

これからの植物の花はどれも美しく、観ていて面白い
しかも、ひとつの花の開花期間は1週間ほどですが、次々に別の花が咲きあがってくるので、花が開き始めたら1カ月ほどは楽しめました。

夏は休眠させて栽培スペースを確保!

ただし、ちょっと問題が…。
これら一部の球根植物の難点は休眠すること。
常に地上に顔を出している植物とは違って、休眠期には地上の葉を枯らし、生きているのか死んでいるのか分からない状態になるのです。
そうなると、球根の栽培に不慣れな初心者は、そんな状態に恐れおののく…。
下手をすると「枯れてしまった…( ;∀;)」と判断し、廃棄しかねません…。

僕もとある球根植物を購入したときに、「休眠期は地上部がなくなるから、やっぱり初心者向けではないよね」と販売されている方から耳打ちされたことがあります。

黄色い「オーニソガラム・ダビウム」

ただ、見方を変えればそこが重大なるアピールポイントでもあります。

なぜなら、湿気に当たらないよう、また害獣・病害虫に侵されないよう、冷暗所で保管しておけば良いのですから(僕の場合、台所の隅に風通しの良い棚を置き、掘り上げた球根をそこに保存)。
つまり、球根を保存している間は思う存分、夏型の植物などを育てることができるのです。

ベランダなど、限られたスペースを最大限に活かし、あらゆる植物を栽培することができる。
現代の狭小化した栽培スペースにこれらの秋植え球根は持ってこいなのです。

芽が出てきたときの嬉しさ。冬は不毛じゃない。

そして夏も過ぎ去った9月~10月のころ。
休眠後に植えつけた植物が、芽や花芽が出たときの嬉しさには計り知れないものがあるのです。
今年もよくぞ、お出ましくださいました!…と(笑)。

気が付けば冒頭のオーニソガラム・ダビウム。
なんと1球から9球に増殖!!
それらが一斉に花を開かせたとき、何とも言えぬ幸福感に包まれたのは言うまでもありません。

休眠期や成長期は、種類によって変わってくるので一概に「夏は休眠」とはいきませんが、冬の間の愉しみがひとつ増えたと僕は嬉しく思います。
これからの季節、南アフリカの秋植え球根にはじまり、チューリップやムスカリ、そしてシクラメンなど、あらゆる花々が冬に向けて動き出します。

冬は不毛じゃない。
だからこそ今の僕は、これからの季節が待ち遠しいのです。

この記事を書いた人

mokutaro

植物好きが高じ鉢物業界に飛び込んだアラサー男子。群馬県に移住し、毎日、食べ(られ)ない嗜好性の強い植物とまみれています。 園芸を考えるブログ「ボタニカログ」を運営中。