オカシさに気付けない!
ある分野で活動していると、一般の人から「それオカシイ!」と思われることが、さほど気にならなくなったりします。業界では当たり前なことだから…と。でもよくよく考えてみると、確かに「オカシイ」。えっ、何でこんなにオカシなことに気が付かなかったのだろう、みたいに。そんなことってありませんか?
よく「僕の趣味は多肉植物です」なんて言うと「えっ?果肉植物?サボテンのこと??」と訊かれ「いいえ、多肉植物です。こんな植物を多肉植物と言うんですよ」と画像をみせるやり取りをします。そうすると「キモい!」とか「かわいい!」など、反応は千差万別[*01]。それから一部の人は興味を持ち、多肉を始めた方もいます。
職場の上司もそのひとり。今月には八ヶ岳の柳生真吾さんのお店へ、多肉植物を物色しに行くそうです。きっと現地では「なにコレ!オカシイ」の連発だと思う。
振り返ればそういう感動が僕には減っていました。
僕の間違いと反省点
このブログを書いていると、ネタ集めのため、知っている植物をもう一度観察することがあります。「プラント・リハント」なる造語を自分に言い聞かせ、新しい発見はないかと探し回るのです。そして分かったのは「既知は未知を阻害する」ということ。「この植物はこういうモンだ」と決めつけると、それにしか見えなくなってきてしまうのです。
シダの講演で中池さんが語られた「いろんな角度から植物を観れば印象が変わる。人間もそうであるように」との言葉。これで僕は間違いに気が付きました。偉そうに他人に多肉を紹介している場合でなく、ひとりの「趣味家」として観察方法を改めねばと思い立ったのです。
そして、今回の「サボテン・多肉植物ビッグバザール」。テーマは「とびっきりオカシな植物を手に入れる」こと。オカシイと思えるのは、そのオカシさに気付けたから。初心に立ち返り参加しようと決めたのです。
テーマを決め、いざビッグバザールへ!
前置きが激しく長くなりましたが、購入したのは以下。
順次解説していきます。
3鉢で500円!
この3つはなんと計500円。安い。
まずはこれ。ブースの方に訊くと「セダム」とのこと[*02]。
全体に広がっているのはもしや「タイトゴメ」?
あの公園に自生するタイトゴメも、そろそろ紅くなるのではないでしょうか。そのタイミングを知るためにも、買って損はないと思いました。
真ん中の植物は何だろう。ツメレンゲかな?
にしても、葉が細すぎる。やや徒長気味だから?来春から株を引き締めてみよう[*03]。
次は「姫春星」と書かれた植物。調べると「マミラリア」と呼ばれるサボテンのよう。
蒸し暑い夏は苦手で、涼しい場所での管理がベスト。ピンクの花が咲くらしいです。
買った理由は「色が風呂敷」だから。目を細めてみると、ほらほら、風呂敷に見えてきませんか?和風な印象が漂います。
そのほかに「ミルキーウェイ」と呼ばれるハオルシアも購入しました。これで500円。安いです。
一般的な園芸展ではまず売られない、奇妙な植物たち
次に葉ネギ。ではなく「ナマクエンシス」と書かれた植物。
葉ネギそっくり。発芽した葉ネギが水不足になるとこんな感じになります。ブースの方によれば、この植物は球根。休眠時に葉を落とし、そしてまた葉が生えるそうです。ほぉ~…。そのサイクルをはやく観たい。
そしてここからが本命です。奇妙な形なのに、カラーリングが気に入りました[*04]。名札には「Sta.rufa」。ブースの方によると「ガガイモ科」の植物とのこと。
「多肉植物写真集」を当たってみると「Sta」なる名称の多肉は沢山あり、なかでもガガイモ科(Asclepiadaceae)には「Sta」が一杯[*05]。ひとくちにガガイモとはいっても、種類がたくさんあるそうです。
同じくガガイモ科の植物。「Piaranthus computus DP5562E」。僕の中ではいちばん衝撃的でした。
だって、すごい上昇志向。上向き矢印の嵐。なんだか元気になってきます。
グラフに置き換えてみれば、落ち込んだときですら上向き矢印。ポジティブでいればいつかきっと花が咲く。良いこと教えてくれています。
最後に
これが僕の選んだ「オカシな植物」たち。
人によってオカシさは違うだろうし、まだまだ不思議な植物はあったのかもしれません。ただ、視点を定めテーマがあれば、見える世界も変わってくる。今回の取り組みは僕にとって、間違いなく正解であり成功でした。