昨年のこと。
ワケあって僕の持つ「チューリップ観」が一変させられたのです。
僕の原種チューリップ栽培記
この目で「原種チューリップ」をみてみたい!
その原因は「原種チューリップ」。
詳しくはこちらを読んでもらうとして、とにもかくにも、僕の頭は原種チューリップ一色になったのでした…。
富山県へ出かけてみたり、ネット通販や大型園芸店をめぐり、なんとか原種チューリップのいくつかを入手。
昨年の秋にそれら球根を植え付け、この春、念願の原種チューリップの花を我が目で見ることができたのです!
今回は花を咲かせるまでに感じたことを書いてまいります。
チューリップは植えつけ後が大事!?
まずはチューリップ栽培にあたり、いくつかの書物を紐解く。
すると書いてあるのが「水切れ厳禁」の文字。
球根を植え付けた後に水やりを怠ると、芽が出なかったり、花が咲かないなど、生育不良を起こすというのです。
要は、鉢植えで育てる場合、水切れを起こさないよう厳に管理せよということ。
その理由は実に明快で、葉が出るまでに根を育て、花が咲くまで葉を育てる。
つまり、芽が出る前の根をつくる期間が重要で、鉢植えで育てる場合の難点はここにあるのです。
我が家には自由に球根を植え付けられる戸外のスペースがありません。
自ずと鉢植えやプランターに植えていくことになるのです…。
いくらなんでもこの忙しない現代社会。
悠長にチューリップ栽培に勤しんでいる暇はありません!
と言いたいところですが、習慣化してしまえば案外、苦にはならないものでした…。
僕の場合、仕事帰りのお風呂を沸かす際、バケツを持って水を汲んでおきます。
で、忙しい朝にチャチャッと水を遣るという方法をとりました。
洗濯物を干しにベランダへ出るので、そのついでに水を与えるのです。
するとどうでしょう。
12月ごろから徐々に芽を出しはじめ、いままでの苦労が報われたような気がしたのは、言うまでもありません。
チューリップの鉢は凍らせても大丈夫??
が、ここで疑問が生じます。
芽が出てるのは嬉しいけれど、もし霜が降りてしまったら凍傷などで枯れやしないだろうか…と。
結論からいえば、何度も霜に当たりましたが、それほど被害はありませんでした。
ここで驚いたのは、チューリップの横に置いておいた南アフリカ原産のスパラキシスも葉を黄色くしながらも耐え忍んでいたこと。
逆に言えばスパラキシスでも生き残れるくらいの気温ではあったといえます。
我が町の最低気温は1月で-5℃くらいとの推計が出ています。
置き場所にもよるのでしょうが、球根類の底力を目の当たりにした出来事でした。
実は、さらに気温の低いであろう山間部にもチューリップを植えたプランターを持ち込んでいました(笑)。
そこでの夜間は水を含んだ土が永久凍土のように凍り付き、カッチカチです。
とある人から「こんなに凍らせたらダメだ!陽の当たるところへ置いた方が良い」とアドバイスをいただきましたが、結果は5球植えた「クルシアナ」の3球がダメになっただけで、レディージェーンやリトルビューティなどの原種系は無傷だったのです。
さすがにこちらは暖かくなる3月まで芽を出してはくれませんでした。
それまでは「やっぱりダメだったか」とドギマギしていたのですが、芽を出したときには喜びのほかに、聞かなくても良いアドバイスはあるもんだなと思ったり…(笑)。
それは置いておいて、寒さを与えないと花を咲かせないとはいわれますが、寒さに強すぎる…!
よく、富山県のチューリップ産地などは豪雪地帯で、冬季に降り積もった雪が解けず、実は土の中は暖かいと聞きます。
チューリップにとって適切な「寒さ」が雪の中で保たれるのです。
けれど、強健の品種を選べば、土が凍ったり解けたりを繰り返す環境でも、しっかりと花を咲かせるのだと感じた次第です。
ここらへんの情報はネットにもあまり言及がありません。
植えつけた球根の深さや、土の配合、外気温にもよるのかもしれませんが、次回はもう少し品種のバリエーションを増やして確かめてみようかと思います。
鉢植えで育てると、愛着が湧きすぎる
花を咲かせて感じたこと。
それは、鉢植えで育てたほうが、チューリップへの愛着が湧きます。
特に僕は、原種チューリップへのインパクトが強く、この目で見たいから咲かせたい…というのが、今回の栽培の目的でした。
ところが、この春に次々と花を咲かせてみて、ああ、これが鉢植え栽培の醍醐味かと思い至りました。
- 鉢選びから土づくり
- 球根の植え付け
- 日々の水やり
- 凍ることへの不安
- 発芽の喜び
など、あらゆる障壁(?)を乗り越えた末に咲かせた花をみるにつけ、秋から春に費やした労力が報われた気持ちになったのです。
それと同時に、本来ならば咲かせた花は切り落とすことがベターなのですが、どうしても気が進まないのです…。
結局、いくつかの原種チューリップが僕の優柔不断な気持ちによって、実をつけてしまいました…。
それが次のシーズン、どのような影響が出るのかは分かりません。
原種チューリップのメリットは掘り取る作業をしなくても、長く楽しめること。
掘り取って球根の様子を確認したいところではありますが、今年はそっとしておこうと思います。
一押しの原種チューリップは「クルシアナ」
最後に。
今回育てた原種系を含めた原種チューリップのなかでいちばんカッコいいのは「クルシアナ」でした。
いくら強い原種とはいえ、凍らせることによって3球ダメにしてしまいましたが、咲かせた花はとにかくスマート。
引き締まってみえます。
似たような花を咲かせるレディージェーンは、咲き進むと花弁がたるみ、頭をもたげるのです。
が、クルシアナは最後まで凛とした姿をみせ、これぞワイルドフラワーの神髄かと独り言ち…。
周囲の人にその面白さを伝えてはみましたが、共感してくれる人は皆無でした…。
理解されなくとも、良いのです…。
来年もぜひとも花を咲かせ、そして咲いた花を眺めながら、あーだこーだとブツクサ呟いていたいものです(笑)。