シダ植物講演会に出席。得るもの多く、アツい講演会でした!

小田原フラワーガーデンで行われた「第5回・シダ(羊歯)植物記念展」の続きです。このエントリーでは、13日に行われた講演会「シダの研究(観察)こんなことをすると面白いぞ」について記録します。

DSC_9404.JPG

この講演会。講師は中池敏之さん。50人ほどが入る会場には、シダに関してかなり知識のある方が集まっているようで、講演内容は高レベルでした。はっきり言えば、初心者向けではありません。が、自然観察をするうえで大切なことなどを聞くことができ、非常に勉強になりました。

会場を見渡すと、僕より2~3倍年を重ねた方ばかり。が、みなさん非常に熱心で、中池さんの語る合間合間に「う~ん」とか「へえ~」とか相槌が入ります。熱いです。

いろんな角度から植物を観察する

まずはじめに、講師の中池さんが「ヒノキの間伐材で、シダの芽生えを模りました」と、木彫りの模型を手にします。

DSC_9434.JPG

「このように、上から下から側面から、いろんな角度で植物を見てください。人間にも、いろんな性格を持った人がいるように、見る角度によって印象が変わってきますよね」

と、模型をあらゆる方向にかざしながら説明されます。

さらに講演会のために配られた資料。ここにはイノデ属の一種(詳しい名前は敢えて仰らなかった[*01])である葉のイラストに「ともかくシダに目を近づける」と書かれています[*02]。細かい特徴を見極めて観察をする。これが重要だとのこと。

僕が撮る植物写真。同じ方向から撮ったものばかりで特徴をつかみ切れていないことが良くあります。以前の「オニユリ」の記事は完全に観察不足。写真を撮る場合は、なるべく多方向から撮るのが基本中の基本。いきなり反省させられます。

植物の生長を観る

中池さんは「シダ歴」を推奨されます。

一般に「花歴」という、その場所にどう花が咲くのかを記したものはあるけれど、シダについて同じように書かれた文献などはないそうです。それを解決するためには、自分の努力で観察するほかはないと言います。そのために「花歴」もとい「シダ歴」を用いて、記録していく。これこそが植物を観察する上での面白さだと…。

DSC_9411.JPG

僕はこれまで、植物を見つけたら「こういう植物があった」とは記録していますが、一つの植物を長期間にわたって、記録したことがありません。出会ったらさようなら。けれど、植物を観察するもうひとつの醍醐味は「生長を観察」すること。一時の姿形を観て満足していてはいけないんだと教えられました。

まわりの環境を観る

さらに、その植物を観察するためには、まわりの植物もしっかりと記録すべきだと中池さんは仰います。どんな地形に、どんな植物が生えているのか。

海外の標本ラベルには標高が必ず記されえいるそうです。しかも、その植物の周りには何が生えているのかまで、しっかり記載されているのだとか。なぜなら「植物の生える本当の意味」を探るうえで非常に重要な意味があるからだと。そのうえで中池さんは、

「植物の生育地を記録するとき、あまりにも範囲が大きければ、その「分布の意味」が分からなくなってしまいます。だから、近所の斜面でもいい、自宅の裏庭でもいい。観察する場所は、範囲を狭めた方が面白い。むしろ勉強になります」

P1090399.JPG

深い。ひとくちに「植物を観察する」といっても、多面的に、長期的にみなければそれは「観察」したことにはならない。でなければ「観賞」で止まってしまうのだと、僕は感じました。

この時点で僕はもう、中池さんの話に感心し、自分の中にある「自然観察」の概念が崩れつつありました。それを完全に打ち砕いたのは、この後のことです…。

植物観察をどう楽しむか、楽しむべきか

そもそも、観察するうえでいちばん重要なことは何か。それは「どうして植物を観察するのか」。この講演会のテーマは「こんなことをすると面白いぞ」ですが、「面白くするにはこんなことをしてみよう」という方向に移っていきます。

「ハウトゥーではなく、何故?という部分が大事です。「ノウハウ」について欠落するのはいつも「なぜそうするのか」という部分です」

中池さんが、講演序盤から繰り返し話してきたこと。それは、植物を観察するには、「考察」が必要になる。考察をするためには、あらゆる資料を当たらなくてはならないし、万物あらゆる事柄を浅く広く知っておかなければならない。けれどそれにはお金もかかることだし、体力も時間もかかる。ならば、自分の身の丈に合った観察スタイルを得なければならない。これこそが、「自分がどうして観察をするのか」に帰着する部分だと言います。

「身の丈に合ったスタイルを見つけ、自分で学習する。そうでないと、自立した自然観察者にはならないのです。楽しい観察を見極めなければ、無駄になります。」

僕はこの言葉が鋭く突き刺さりました。なぜなら、このブログの意義そのものにも関わることであるし。正直、深く考えていなかったかもしれません。このことはいずれ、記事として投稿しようと思います。

アツい講演会だった

当日、会場の空調が壊れていたそうで、非常に暑かった。でもその暑さは、気温ではなく、そこにいた人たちの熱気だったのです。

DSC_9447.JPG

それくらい「なるほど」の連続であったし、過去の観察方法を反省する点も沢山ありました。素晴らしい講演会でした。

僕自身「観察の在り方」自体、根底から覆されるような感動を覚えたので、後半は汗だく(笑)[*03]。とにもかくにも、自分の「観察スタイル」いまいちど見直したいと思います。

  1. その理由は、小さな特徴を掴んで、種類を同定できるかどうかを問うためだったようです []
  2. イノデという名前すら知らない自分。あっ、まずいところに来てしまったとここでかなり焦りました(笑) []
  3. あれは冷や汗だったのかもしれません []

この記事を書いた人

mokutaro

植物好きが高じ鉢物業界に飛び込んだアラサー男子。群馬県に移住し、毎日、食べ(られ)ない嗜好性の強い植物とまみれています。 園芸を考えるブログ「ボタニカログ」を運営中。