小学3~4年生向けとして販売されている、「たくさんふしぎ」という雑誌。以前はバオバブをテーマにした号を紹介しました。
今回は、こちら。
2015年11月号はナマクワランドの「神々の花園」
今回は南アフリカの「ナマクワランド」で8月下旬~9月上旬、砂漠の景色に現れる「神々の花園」を特集しています。
もはや「子ども向け」ではない?
そもそも「たくさんのふしぎ」について思うこと。
ひとことで言えば、もはや小学生向けではないです。誤解を生むので、言い方を変えれば「大人も知りたい情報を子ども向けにした」ようなもの。発行元の福音館書店さんウェブサイトにもある通り、
自然や環境、人間の生活・歴史・文化から、数学・哲学まで。あらゆるふしぎを小学生向きにお届けする科学雑誌「たくさんのふしぎ」。第一線で活躍する研究者や専門家が、世界にあふれるふしぎを、子どもたちが自ら感じ、考え、理解していけるよう導いていきます。
引用元:福音館書店
自称・小学22年生の僕[*01]でさえ、「へぇ~」と唸ってしまう内容です。
たくさんのふしぎは「深い」
「たくさんのふしぎ」では、何度か植物ネタを取りあげているのですが、写真も綺麗だし、なにより分かりやすい。そして深い。なかでも「食べられて生きる草の話」号は、そこまで掘っちゃう?というくらい深い…(笑)。
今号でも、その深さは継承されていて、主役の花以外にも虫や動物がピックアップされ、当地域の自然観がうっすらながら見えてくるのです[*02]。
また、著者の澤野新一郎さんは、神々の花園に魅せられた写真家と世界中に紹介されています。だから、掲載されている花園の写真が美しい。まさに「天国」みたいな絶景なのです。
驚愕の混雑!神々の花園たる所以
1メートル四方のわくを花園におき、そのマスの中にどんな植物や昆虫がいるかを調べています。
このわくの土の中に、いくつの球根が入っていると思いますか?
なんと、球根が15000こ以上もみつかりました。
引用元:神々の花園 (月刊たくさんのふしぎ2015年11月号)
これは本のなかの一文。球根が入っているというよりも、詰まっている。天国を思わせるような花園を形成する所以は、自然が種や球根をギュウギュウづめに植えた結果なのです。
それを広大な土地一面で演出し、何年も何年も自然のサイクルを支えてきた…。人智に及ばない壮大なスケールの営みが繰り広げられているのだと、この本を読んで感じます。
地球の反対側に思いを馳せよう
本書には、メセン系や最近「Bizarre Plants」で脚光を浴びている植物の紹介も、チラッと…。多肉植物ファンにおいても、南アフリカのおおまかな環境を知る上で、勉強になります。
そうそう。もちろん「神々の花園」へ行く予定だという方にも、お勧めです。
遠く、日本の裏側の景色に思いを馳せながら、ぼうっと眺めるのもオツ。一度は行ってみたいなぁ…、南アフリカ…[*03]。