買ってよかった。純粋にそう思えた本です。
「たくさんのふしぎ」を読んで…
僕のような知識もないまま園芸を趣味としている人間にとって、植物を専攻している人からすれば「当たり前」というものすら知らなかったりします。無論、バオバブがどんな植物で、どこに生えているのかすら…。
子供向けの科学雑誌だと侮るなかれ!
この本は子供向けに書かれています。対象年齢は小学3年生から。
自然や環境、人間の生活・歴史・文化から、数学・哲学まで。あらゆるふしぎを小学生向きにお届けする科学雑誌「たくさんのふしぎ」。第一線で活躍する研究者や専門家が、世界にあふれるふしぎを、子どもたちが自ら感じ、考え、理解していけるよう導いていきます。
引用元: 【小学3年生から】たくさんのふしぎ|月刊誌のご案内|福音館書店
そのはずなのに、僕の知識レベルにピッタリ合致して、読むほどに面白い。いや、読めば読むほど分かる、スルメみたいな雑誌なのです。
現地の写真が手掛かりになるカモ?
この本が植物好きとする人にオススメな点は、平易で分かりやすい文章もそうなのですが、マダガスカル現地で撮影された写真がとても優れているということ。
わりと広角で撮影された写真が多いので、文章ばかりの園芸本を読むより、直観的に伝わるものが多いのです。マダガスカルとはこういう地面で、周囲にはこういう植物が生えていて、こんな間隔で群生しているんだ…とか。
多肉植物の入門書などを読むと、「現地の環境を想像して栽培すべし」というキーワードが頻出します。でも「現地の環境なんて知らねぇし」といったところがホンネでは?この本にはマダガスカルはどういった土地なのかを知る、数少ない資料であるともいえます。ゆえに、マダガスカル原産の植物を栽培するときに、若干のヒントを与えてくれそうです。
ただし、マダガスカルには大きく分けて4つの地域があり、その地域により環境や自生する植物が大きく変わることもあるとか。なので、バオバブの生えている西海岸地域の資料として使った方が無難かも。
マダガスカルに「ウチワサボテン」!?
こうしてみると、本書では直接は触れられない様々な現象も気になるのです。
たとえばマダガスカル南部に生える「ザーバオバブ」の周辺には、大量のウチワサボテンが群生しています…。ウチワサボテンはそもそも南米の植物。どうしてアフリカ大陸の横にある島に生えているのだろう…とか。
さらにたとえば、マダガスカル南西部では地面から塩が噴出して真っ白に。その向こうにバオバブが聳え立つ…。でもそんなにも潮が噴いている原因は何なのだろう…とか。
写真をじっくりと見ることによって、また違った疑問が次々と湧いてくるのです。
マダガスカルの植物に興味津々!!
先にも書きましたが、この本は子供向け。なのにも関わらず、大人であるはずの僕でも大変、面白く読めました。現地でバオバブがどのように利用されているのか。または地域ごとに異なるバオバブの特徴はどうか、など…。この本を読んで、マダガスカルの環境に非常に興味を持ちました[*01]。
もちろん、子どもが読んでも楽しくページを開くことができるかと思います。この本を通して親子で植物談議をするのも良いかも。僕はこの本から、どんどんバオバブの樹に、ひいてはマダガスカルの植物へ興味が湧いてきています。
何はともあれ、読んで損はない本ですよ!
- 「マダガスカル 植物」などと検索すると、身近な園芸植物が大量にヒットしました。これは特徴的な植物が豊富に存在することの証かも。いつかマダガスカル原産の代表的な植物をまとめてみたい [↩]