BRUTUSの「庭」特集を読む。なぜか沖縄に行きたくなってしまいました…というハナシ。

これまで数々の植物的ワクワクを届けてきてくれた「BRUTUS」。今度はどうやら「庭」をテーマにした特集号が出るらしい…

我が地元は売れ行きが悪いとのことで「BRUTUS」の配架を取りやめた書店もある[*01]なか、やっとのことで入手しました…。

BRUTUS(ブルータス) 2016年 12/1号 [庭]

読めばなるほど。庭というものはかくあるべきものかな、と。今回は感じたことをそのまま書いてみます。

BRUTUSの「庭」特集を読んで…

まるで建築雑誌を読んでいるみたい

ハッキリ言って、BRUTUSを読んでいるというよりも「Casa BRUTUS」のページをめくっているのかと錯覚してしまいます。まるで建築雑誌。植物が主体ではなく、どちらかと言えば建物(空間構成)のあり方がメインです。

それもそのはず。庭というのは建物があるからこその庭であり、建物がなければそれはただの農園とか原っぱなワケで…。家と外部空間がどのように関連付けられているのかが問題となってくるのです。

そのなかで、住まう人間がどのような生活を営むのか、庭があることによってライフスタイルにどのような変化を及ぼすのかを、今号の「BRUTUS」では説いているのだろうと感じます。

問題提起~庭から「いま・ここ」を感じ取ろう~

で、その答えの所在はでっかく表紙に書いてあります。

今年もまた、
あっという間に
あと一カ月と少し。
せわしなく過ぎる
毎日に必要なのは
変化と成長、
そしていまを
実感する暮らし。
その答えは、
庭にありました。

引用元:BRUTUS(ブルータス) 2016年 12/1号 [庭]

庭という空間を通して、「いま・ここ」を感じ取る。植物が教えてくれる季節の変化を知る。その実感を得るには庭が必要なのではないか?という問題提起です。

この特集では、葉山だとか京都だとか神戸だとか、そういった一等地の、しかも名のある建築家に建ててもらった住まいの羅列。僕のような庶民にとっては、いつか住んでみたいと思う憧れの住空間。

とにかく素直に驚きの連続。絶えず視界に「庭」が飛び込む構成は確かにカッコいい!と思ったり、庭と空間はそう繋いだら冬は寒いんじゃないかとか、湿気がヤバそうとか(笑)。「この家に住んだらどうなんだろう?」と想像するのが楽しくなります。

庭=外部空間とのバッファーという前提

そんなことを考えながら読み進めると、古今東西、庭という空間は住空間(寝起きしたり食べたりする場所)と、パブリックな外部空間のバッファーとなる場所であると感じます。庭には本来、そういった前提があるのではないかと僕は考えています。

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都心で生活すると、なかなか庭を持つことが難しいのだろうとは容易に想像ができます。マンションなどでは壁一枚を挟んで、もう誰かの暮らしがそこにはあって、だからこそ息苦しく感じる。

そこで庭という緩衝地帯をつくって、植物が外部からの視線を塞ぐ。さらには内側からも、ゴチャゴチャした忙しない都会の風景をあからさまに垣間見なくて済む。その先に、疲れを癒して気分を転換する場所に住空間はなり得るのだと。

ところが日本は国土面積が狭いことからも、なかなか思うような「庭」をつくれないのも事実。このBRUTUSでも、内部空間に庭を嵌入してみたり、建築物に工夫を凝らして庭の景色が飛び込むようにしてみたり…。そんなアイディアがいくつも紹介されています。

庭で食材を採るのも季節を感じる方法

次に庭があることによって「季節感」を得られるということ。今特集の肝でもあると思います。

僕の実家にはモミジとイチョウの木が植えてあるのですが、秋の季節には紅葉したり落葉したりと、季節を知るバロメーターになっているのは言うまでもありません。

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そんな植物たちが、さらに季節の実りを僕らに与えてくれるのなら、人間と庭とのつながりはますます深くなるはずです。庭で採れるものを食卓にあげるのはその最たるもの。旬な食材を採ってすぐ食べられるのは、園芸の醍醐味でもあります。

とくに、BRUTUSにも紹介されていた沖縄の「辺銀食堂」さん。沖縄という気候もあるのでしょうが、羨ましい限りの環境です…。

関東では冬季、温室や室内で育てないといけないような植物が地植えされているし、そもそも庭でバナナを採れること自体が、なんというかカッコイイ(笑)。

誰か「豆から挽くコーヒーよりも、豆からつくるコーヒーをやりたい」っていう人がいましたが、沖縄では可能かもしれません…。関東の人間からすればそこは異世界で、非日常的な空間が「庭」という存在ですぐ隣にある。嗚呼、なんて羨ましいのでしょうか…。

沖縄に向ける羨望の眼差し

以前、温室をつくることはロマンである、と書きましたが、沖縄では熱帯植物のありのままを観ることができるのですね…

実際はいろいろな不便さはあるのかもしれませんし、熱帯植物の地植えはそう簡単ではないのかもしれません。でも植物愛好家にとっては羨望の眼差しを向けざるを得ません。文字通りのパラダイスやん。

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環境によって庭との関わりもだいぶ変わってくるんだなぁと、カルチャーショックを受けた今号の「BRUTUS」。なんだか話が逸れますが、沖縄に行ってみたくなってしまいました…。

  1. BRUTUSを読むような読者層がいないということでしょうか。都会に行けばコンビニにも置いてあるのに… []

この記事を書いた人

mokutaro

植物好きが高じ鉢物業界に飛び込んだアラサー男子。群馬県に移住し、毎日、食べ(られ)ない嗜好性の強い植物とまみれています。 園芸を考えるブログ「ボタニカログ」を運営中。