プロフェッショナル 仕事の流儀を観てポール・スミザーさんの「足元にある大事なもの」にハッとさせられる

2014年12月1日放送の「プロフェッショナル・仕事の流儀~大事なものは足元にある~」を鑑賞しました。

おおまかな番組の内容

この回のプロフェッショナルは、ガーデンデザイナーの「ポール・スミザー」さん。イギリス生まれなのですが、植栽に使うのは日本の多年草がほとんど。その理由は、四季の移り変わる日本固有の、さまざまに変化する色彩豊かな植物に魅せられたから。

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スミザーさんが来日したころの日本は空前の「イングリッシュガーデン」ブーム。日本の気候に合わない植物を何とか栽培させようと、農薬や肥料を大量に使い、枯れたら植えなおすという荒業的な手法が盛んにおこなわれていたそうです。それに違和感を覚えたスミザーさんは、敢えて日本に自生する、地味だけど変化に富んだ植物を使って庭を再現しようと試みます。しかし、スミザーさんのアイディアは見向きもされませんでした。

そんな折、東京で行われたガーデンショーで、見事、スミザーさんの庭は最優秀賞を受賞。「子供の頃に見た原風景を思い出した」と、観た人の心を動かします。そこからスミザーさんの日本の植物を用いた園芸手法にも注目が集まるようになった…。いまでは、日本の各地を回り、「ナチュラルガーデン」を世に広めるスミザーさん。なるほど、「ナチュラルガーデン」とは単に無農薬的なガーデニングを指すのではなく、土地本来の、文字通りそこに根付いた植物を使うことなのか!この番組を観て、意味の履き違いに気が付きました…。

番組を観た、僕の感想

ここからは、鑑賞した僕の感想。

植物の「居場所」が失われている

共感したのは、日本に自生する絶滅寸前の植物が追いやれていることを知る由もない僕ら日本人のこと。ついこの間、こんなニュースが入ってきました。

日本の植物絶滅速度は世界の2~3倍

日本列島の植物の保全は急務である。そのことを知らせる研究が報告された。日本で維管束植物(シダ、裸子、被子植物)の減少傾向が現状のまま続くとした場合、100年後までに370~561種の絶滅が起こる可能性があることを、国立環境研究所の角谷拓(かどやたく)主任研究員と九州大学大学院理学研究院の矢原徹一(やはらてつかず)教授らが示した。

植物1618種の絶滅リスクを分析した結果で、その絶滅速度は世界全体の維管束植物で推定されている値の2~3倍にも相当する。国立・国定公園の区域内と外で個体数の減少傾向を比較したところ、公園内では減少傾向が最大で60%程度改善されていることも確かめた。絶滅危機を警告する定量的な分析として注目される。

引用元:ニュース – 環境 – 日本の植物絶滅速度は世界の2~3倍 – ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト(ナショジオ)

これは、日本が世界に誇れる植物の絶滅リスクを測れる画期的な研究だそうですが、この結果は、開発による植物の「居場所」が奪われてしまったのが大きな要因だそうです。

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番組でもスミザーさんは、

植物の本音を聞きたいんだよね。まあそうね、どっちかっていったら日当たりのいいところ、とかね。植物と話ができたら、本当のこと言ったらあなたはどういうところを好む?ってことは聞くと思う。生き物はみんな一緒だと思うよ。別に植物でも人間でも。場所さえあっていれば生きることができるよね。住むことができるよね。

引用元:ポール・スミザー(2014年12月1日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀

と話します。けれど、普段から植物や環境に意識を向けている人でないと、この問題には全く気が付かない。気が付く術もない。コンクリートのおおわれた都会で、人工的に植栽された木々に囲まれて過ごしているのならなおさらです。無論、僕もそのうちの一人ですから。

まずは「植物を好きになる」ことから。

幸いなことに僕の場合、植物に目を向けてから、様々なことを知ることができました。海浜植物が追いやられていること。外来種が当たり前のように繁茂していることなど…。実は「身近な植物」が身近ではなくなる危機というのが、別の意味で身近に迫ってきているのです…。美しい花、派手な花に見惚れている間に、思わぬ弊害が潜んでいるとは、僕も全然知りませんでした。

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だからこそ現在、至るところで行われている「植物観察会」は、とても重要な意味を持つべきであり、また一方で、「身近」に感じられるように植物の有用性を教える、あるいは利用していく方法を見出していかなければならないと感じます(*01)。そこから、植物の居場所をどう確保するべきか、このまま植物がなくなってしまったら、どうなるのかを考えるきかっけをつくるべきだと思います。

スミザーさんも、

もうちょっと自分の足元の自然を大事にしないと、世界の色んな国から見てもすごいなっていう種類豊富な自然がなくなったらどうする?って。ポールに聞かないとわかんないとかじゃ困る。私はずっと生きているわけでもないし。なるべく大勢の人に植物を好きになってもらわないと続かないと思うんだよね。

引用元:ポール・スミザー(2014年12月1日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀

と語ります。まずは「植物を好きになる」ことから。そして、植物を知って、植物と関わって…。重要なのはキッカケ作りなのかもしれません。

外国人に再発見される「日本の美」

そしてもうひとつ感じたこと。日本の「美」がまたひとつ、外国人によって脚光を浴びたということ。これまでにも、浮世絵や桂離宮などの建築物など、外国人によって再発見される「日本の美」はいくつもありました。

ただ今回の「日本の美」とは、よくよく考えれば、それは何も人間が作り出したものではなく、本来この日本という土地に存在していたものに隠されていたもの…。つまり、スミザーさんが発見した日本の美とは、日本人の持つ美意識のおおもとなのではないかと思います。

植物が作り出した統括的な景色を「原風景」として、それを日本の美意識で描いていく。その美意識は、日本の自然から培われたものであるならば(植物などを発端にして、「てりむくり」に代表されるような形式が生まれたとするならば)、日本に存在したあらゆる植物こそが、日本の美意識のおおもとではないかと思うのです。

大事なものを踏みつける前に

とはいえ、日本の美意識を語れるくらいの知識はありませんので、もはや憶測でしかありません。が、どうも現代の日本は「足元にある大事なもの」を忘れてしまうようです。スミザーさんによって再発見された「四季による在来植物の美しさ」…。

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僕も今後はもっと注意深く、大事なものを踏みつける前に、地面を見つめてみようかと思います。

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この記事の脚注

  1. たとえば、里山にある植物を食べる。または里山にある植物を一部持って帰り、植える・育てるなど。小学生の頃に学んだ「ヨモギ」の判別方法は、葉の裏が白いこと。その知識を用いて、ヨモギの草餅を食べたのは、いまでも覚えています []
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