切花の嫌いな僕は、ユリだけはワリと好き。その理由については嫌がる人もいますが、開花したときに漂うあの甘い香り。何だか落ち着くのです…。
戸川公園で見つけた「ユリ」は何だろう?
友人と一緒に戸川公園に行ったとき、園内に白いユリが咲いていました。で、例外なく僕は、このユリの匂いも嗅ぎました。一緒にいた友人に「ほら、いい匂いするよ!」と誘ったのですが「いい。興味ない」と冷たくあしらわれます。素敵な香りなんだけどなぁ…。素敵やん?
とはいうものの、僕はユリのことをあまり知らない。いつかじっくりとユリ(特にヤマユリ)を調べたいのですが、今回はいい機会なのでこのユリを調べてみました。
「テッポウユリ」か「タカサゴユリ」か
白くて、葉の細長いユリ。似たような種類が3種類ほど[*01]引っかかってきましたが、結論から書くと「テッポウユリ」だと思います。Wikipediaには、
丈が 50cm-1m 程度に生長し、楕円形で長い葉をつけ、葉脈は水平方向に入る。原産地での花期は 4-6 月で、茎の頂上に純白で細長い花を横向きにつける。花長は 10-15cm、直径 5cm ほど、花弁が6枚あるように見えるが根元がつながっており筒状になっている。雌雄同花である。
本種は外見・生態上の特徴が後述の近縁種タカサゴユリに酷似するが、一般にタカサゴユリよりも小型であり、葉が太めで、花が白く筋などが入らない点で区別する。ただし、本種はタカサゴユリとの園芸交雑種が多く、変異も起きやすいとされ、違いが判別しにくい場合も多い。
引用元:テッポウユリ – Wikipedia
とあります。比較する画像がないので、載せることができませんが、幸い他のブロガーさんなどが詳細にわたって比較されています[*02]。その一部を紹介します。
ネットで見つけた詳しいブログ・HPの記事
- タカサゴユリ|石川の植物
テッポウユリとタカサゴユリについてかなり詳細な情報が記されています。 - テッポウユリとタカサゴユリ : 野草風薫
美しい写真で見分けが分かりやすいです。 - タカサゴユリ (高砂百合) 花々のよもやま話/ウェブリブログ
ユリについて、その伝説や民話が詳しく書かれています。
見分けが容易な箇所は、花びらに筋が入っているかいないか。入っていれば「タカサゴユリ」、入っていなければ「テッポウユリ」。まずはその箇所が見分けるポイントのよう。ただし、例外もあるそうなので要注意です。
タカサゴユリは外来植物
これほどこのユリが注目される理由は、この花が可憐であることも一つでありますが、他に比較対照となったタカサゴユリが「外来植物」であることもその存在を知らしめている原因でしょう。
タカサゴユリは1923年あたりに日本へ輸入され、高速道路の法面などでよく見かけられますが、在来種のユリと競合、あるいは交雑してしまい、日本固有のユリが減る恐れが。しかも、花が綺麗であるために、なかなか駆除されないそうです(参考:タカサゴユリ / 国立環境研究所 侵入生物DB)。
僕が見つけたこの花はテッポウユリだとは思いますが、もしタカサゴユリだとすると、何だかなぁ…という気分です。同じことを何度も書いていますが、帰化してしまう外来植物ってホント、多いんだなぁ…。
追記:2016年9月3日
結論は「よくわからない」
2016年の夏になって、この記事が多く読まれるようになりました。その結果、このユリは果たして「テッポウユリ」なのか。それとも「タカサゴユリ」ではないのかという意見をいただくようになりました。
結論から言うと、よく分かりません。
1410 テッポウユリ
Lilium longiflorum Thunb花屋で切り花として売られているものや花壇に植えられているものまで知られているが、奄美大島、琉球列島、種子島、屋久島などにはまれに野生のものがある。しかし、栽培中の種子が飛散して野生化するものが多く、逸出か、自生か区別のつかないものがあるという。小笠原で群生しているものがあって、自生かと疑いを持ったことがあったが、後に逸出、野生化したものであることがわかった。
引用元:野草大図鑑―Outdoor graphics
かたやタカサゴユリについては、
Q2 タカサゴユリ・ホソバテッポウユリ
Lilium formosanum Wall台湾原産の多年草で、もと観賞用として輸入栽培されたものですが、近年日本各地に野生化、カラー図のように美観を呈する所がある。茎は高さ40~70㎝、緑色、無毛でときに紫色の点が散らばる。葉はテッポウユリにくらべて細く、幅4~8㎜、質はうすく緑色が濃い。花は白色、ラッパ形で細長く、花被片の下半分はたがいに合生、筒形となることはテッポウユリと同じであるが、いっぱんに花被片の外側に淡紫色のぼかしがあって、とくに中央脈のあたりが濃く、花粉が赤かっ色をおびる(テッポウユリでは黄色)ので見分けられる。
引用元:検索入門 野草図鑑 (2) ゆりの巻
当記事では「テッポウユリ」と判断していますが、その理由に
- 紫色の筋が花に入らない
- 花粉が黄色い(タカサゴユリなら褐色になる)
があります。
2014年は「テッポウユリ」。今年は「タカサゴユリ」。
ところが、今年、同じ場所のユリをみてみると、花には紫色の筋が…。2年前は上記写真の通り、真っ白だったのですが、今年はなかなか派手な色の筋が入っていました…。
だとすると、このユリは「タカサゴユリ」か…?
ただし、Wikipediaの引用文にもある通り、交雑されたり変異されたりと、一概に「これは○○ユリだ」と判断できないのではないでしょうか。
この記事を更新するために、いくつかの図鑑を当たりましたが、「テッポウユリ」と「タカサゴユリ」に関する記述がそもそも少なく、多くの情報は得られませんでした。
さらに、テッポウユリの開花期が6月だったり、7~8月だったり、図鑑によって揺れる揺れる。じゃあ、僕が目にしているこのユリは一体何なのだろう。
そう考えると、同定するのが果てしなく難しく思えてきてしまいます。ただ、今年みたユリは「タカサゴユリ」にどこまでも近いのではと考えています。
そして、ここまで調べてみると、ずいぶん「タカサゴユリ」と「テッポウユリ」に詳しくなったことに気が付きます(笑)。こうして、植物好きは深まっていくのですよね。