『ジャトロファ(ヤトロファ・ナンヨウアブラギリ)』という植物を知っていますか?バイオ燃料にもなり、多肉植物として知られる仲間も…。

賛否両論あるかと思いますが、こんな記事を見つけました。

「ジャトロファ」ってどんな植物だろう…。

いま「ジャトロファ」という植物に注目が集まっているのだそうです。

10年ほど前、バイオマス燃料の切り札として、一躍脚光を浴びた「ジャトロファ」という植物をご存じだろうか―当時、メディアなどで大々的に取り上げられたが、ブームは早々と去ってしまった。その背景には、詐欺まがいの行為が多発したことにあった。一方、米環境保護局(EPA)が昨年10月、次世代型のバイオ燃料としてジャトロファを評価したことで、再び注目を集めているようだが、以前のような盛り上がりにつながるかは不透明だ。

引用元:熱帯性低木「ジャトロファ」―バイオ燃料のブーム再来はあるか – リムエネルギーニュース

ジャトロファ…。聞いたこともありません。ということで、調べつつまとめてみます。

「ジャトロファ」=「ナンヨウアブラギリ」

Wikipediaには、

ナンヨウアブラギリ(南洋油桐、学名:Jatropha curcas)は、トウダイグサ科の中南米原産の落葉低木。別名はタイワンアブラギリ、または学名からジャトロファ、ヤトロファなど。原産地は中南米であるが、16世紀以降、スペイン商人などの手により世界中に伝播した。

引用元ナンヨウアブラギリ – Wikipedia

とあり、和名では「ナンヨウアブラギリ」。名前に「アブラ」とつくところからして「アブラっこい」イメージが湧きたちます。

photo credit: Jatropha: Papaya mealybugs via photopin (license)
photo credit: Jatropha: Papaya mealybugs via photopin (license)

種子は30パーセントが油!しかも毒を持つ。

この植物。ポイントは種子が30パーセントもの油を含むこと。一説には種に火をつけると2分間は燃えているのだとか[*01]。

photo credit: Jatropha via photopin (license)
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利用法としては、原産国の南米では石鹸や薬、ランプ用の油などに使われていたそうです。

そしてジャトロファは「トウダイグサ科」。そうです。他のトウダイグサ科の植物と同じように毒を持っています。現地では動物たちがこの毒性を認識しているため近寄りません。なので生垣などに利用し、さらに生垣にできた実を使って耕運機の設備に使用している地域もあるのだとか[*02]。

また、毒を持つことから食用にはならず、他のトウモロコシやサトウキビなどのように食料分野を混乱させないとの見方もあるのです。

「ヤトロファ」という名前で園芸種が流通

園芸の観点からは、赤く可愛らしい花を咲かせたり、幹などが太くなるコーデックスとよばれるカテゴリーにおいても人気。一般的には「ヤトロファ」という名前で流通してもいます。

ヤトロファとは

ヤトロファの名前はギリシア語のイアトロス(iatros:医師)とトロフェ(trophe:栄養)からなり、一部の種が薬用となることに由来します。
よく育てられているのはサンゴアブラギリと錦サンゴの2種です。園芸では多肉植物として扱うのが一般的?です。さらに細かく言うと、その中でも『コーデックス』という分野の植物として扱われます。鉢植えでも比較的よく出回っています。


引用元:ヤトロファ(サンゴアブラギリ)とは|ヤサシイエンゲイ

どうやら同じナンヨウアブラギリ属の一部種類は多肉植物として扱われるようで、サンゴアブラギリ(Jatropha podagrica)なんて、まさしく多肉植物。

photo credit: 070603 via photopin (license)
photo credit: 070603 via photopin (license)

いつもの悪い癖ですが育ててみたくなってしまいます…[*03]。

食用の植物が育たない土地でも栽培できる

したがって、乾燥に強い植物なので、干ばつに強い。それでいて食用の植物が育たない土地にあって、3~4年で10ha5トン/年の種子収穫が見込めるともいわれています。

また、生長も早いため、すぐに農民の収入源になりえる。しかも50年間は繰り返し収穫ができるとも。ゆえに各国で着々と研究・生産がされはじめているのです。

photo credit: Going Green via photopin (license)
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ジャトロファ栽培のデメリット

ここまで賛否両論の「賛(メリット)」の点を挙げましたが、もちろん「否(デメリット)」の点も。

それは生産を拡大すれば、食料を栽培していた土地でもジャトロファのプランテーションにとってかわってしまうのでは?という懸念です。食料を圧迫しないとされてきたのに、これでは本末転倒です。

燃料であっても、食料であっても、僕らが生活していく上では欠かせないもの。どちらかを極端に多く生産するのではなく、うまく棲み分けができれば…。環境による生産効率を細かく調査するなど、課題はあるなぁと思います。

身近にある植物が「こんなモノ」に!?という驚き

今回、ヤトロファという植物を知って感じるのですが、身近にあるモノが「こんな植物からできてるの!?」と驚かされます。蓑や笠然り。タピオカ然り。そしてジャトロファ然り…。

photo credit: Jatropha curcas germ bud via photopin (license)
photo credit: Jatropha curcas germ bud via photopin (license)

これからも、いろんな植物のいろんな利用法が新たに発見されるはず。その都度、僕ら人間と植物は切っても切り離せない関係なんだとつくづく思うのです。

「ヤトロファ」の各品種をみられる本

以下の書籍に、ヤトロファの各品種が多く紹介されています。気になる方は是非…。

こちらにも。読んで気がつくのですが、「Jatropha」の原産地は各地にあるみたいですヨ…。

  1. 参考:http://www.eurosongspain.com/energy/jatropha.html []
  2. 参考:[PDF]https://www.jircas.affrc.go.jp/reports/2011/pdf/s20120321_shiryo.pdf#search=’Jatropha’ []
  3. ただし低温には弱いそうです []

この記事を書いた人

mokutaro

植物好きが高じ鉢物業界に飛び込んだアラサー男子。群馬県に移住し、毎日、食べ(られ)ない嗜好性の強い植物とまみれています。 園芸を考えるブログ「ボタニカログ」を運営中。