彼岸花を調べたら、仏教とのつながりは必然のような気がしてくる。その不気味さ、その華麗さゆえに。

ヒガンバナの満開後に「そういえばまだ、じっくりみていない!」ということで、慌てて近所の名所へ出かけてきました。

ヒガンバナをみて、調べてみたら…面白い!

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神奈川県南足柄市の運動公園です。ここは「リコリスの丘」という名前がついていて、当日も観光客がゾロゾロ。5万株の彼岸花を目当てに大勢の老若男女が訪れる人気スポットです(*01)

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さて、ヒガンバナを調べていくと、興味深いことがたくさんあって、非常に面白い。ということで、まとめてみます。

日本の赤いヒガンバナは「タネ」をつくらない

もとは中国からやってきた植物。中国ではタネをつくるヒガンバナは存在するけれど、実は日本のヒガンバナはタネをつくらない。

日本のヒガンバナは、遺伝子のセットが3セットになった「三倍体」なので、交配をしない。だから、日本中のヒガンバナは、球根で増える栄養生殖(*02)

そしてそれを人間が植えたり、土の中に混ざった球根が各地に運ばれ、ここまで広まったといわれています。

ヒガンバナの毒は強烈

そのヒガンバナの球根には、「リコリン」という毒があります。この毒は、煮たりすると毒が取り除かれると謂われます。ところが、これを食べた毒草を研究している植松黎さんの記録には、

最初は口のなかがヒリヒリ熱くなって生唾がこみあげ、おう吐がはじまる。吐いても吐いてもむかつきは収まらず、胃のなかがかきまわされるように痛んでくる。頭がくらくらとし、上体をおこしていられず、何かにしがみついていても、自分がどうなっているのかさえ分からなくなる。

引用元:毒草を食べてみた (文春新書)

相当強力な毒なようで、煮ても炒めても、その毒性は変わらないと植松さん。本の中では能登のおばあさんから、食べ方を教えてもらうに至る(*03)のですが、かなりの手間が掛かるよう(*04)

彼岸花がお墓に植えてある理由

ヒガンバナは、お墓の付近でみられることがよくあります。その理由はいくつかあって、

  • 球根に毒があるから、それを嫌うネズミやモグラに荒らされないようにした
  • 球根を食料とすることもできる。高台に作られることの多い墓地に植えておけば、川の氾濫などで流されにくく「先祖が食料を守ってくれる」から
  • 飢饉の際にヒガンバナさえ食べられなかった死者を悼んで植えた
  • 「牽引根」と呼ばれる根が、地中へもぐりこませるように縮むので、墓地の土砂崩れを防ぐには有効だから
  • 根から出る毒性の化学物質が、ほかの植物の繁茂を防ぐから

と、諸説あり…。ゆえに「ハカバナ」「シビトバナ」「ユウレイバナ」などと、惨憺たる別名が存在する(*05)のです。

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お彼岸に咲くということや、あの遠慮のない赤すぎる赤も、こういった命名をされてしまう一因かもしれません…。

「相思華」という別名も…。

けれども、「相思華」という詩的な名前で呼ばれたりもするそうです(*06)。なぜなら、花が終わってから、小さな葉が生え始めるので、花と葉が出会うことがない。

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南足柄の運動公園には、ほんの少しだけ白いヒガンバナが咲いています

なので「ハミズハナミズ(葉は花を見ず、花は葉を見ず)」ともいわれ、それぞれ出会うことがないので、お互いに思いあう由来から「相思華」よ呼ばれるのだとか。

なんだか、ロマンチック。仏教においても、天から降り注ぐ「四華」のひとつとされ、妖しさと麗しさ、そして高貴さを兼ね備えた、不思議な花。

朽ちゆくヒガンバナの花

ヒガンバナはシーズンが終わり、どす黒い色に変り果て、そろそろ朽ちゆく頃合いです。仏教つながりでいうならば、儚い美しさに「無常」を感じます。

そして、来年も眩しい赤の花を咲かせることも、輪廻を思わずにいられません…。仏教との深いつながりも、何だか必然であるように感じてしまうのです。

参考文献

この記事の脚注

  1. 近くには、以前このブログにも書いた酔芙蓉をみれるスポットもある []
  2. 時期になると同じタイミングで咲くのはそういった理由もあるようです []
  3. マネする人がいるといけないので、ここには書きません。 []
  4. 飢饉のときはそこまでしなければならないのかと感じざるを得ません。植松さんの本にあるエピソードは一読をお勧めします []
  5. ヒガンバナの別名は数百から1千も存在すると言われています。 []
  6. 韓国では []
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