木造校舎は優しい。旧福澤小学校に行って机をスリスリしてきた。

僕が「木造校舎」を見たいと思ったのは、2007年頃でした。簡単に感化されてしまう僕は、映画「早咲きの花」を観て木造校舎の温かみに深く感動したのです。

木造校舎が見たい

けれど、撮影に使われた木造校舎を観たいと思っても当時は学生。交通費を考えただけで絶望しました。ならば近くに木造校舎は…?それが見つけられなかったのです(*01)

それから数年後。たまたま南足柄市について調べ物をしていたときに、この校舎の存在を知りました。他の方の書いたブログを読んで、そのノスタルジックな景色に木造校舎熱が再燃。これは行くべしと、楽しみにしていました。

いざ「丸太の森」の「旧福澤小学校」へ!

南足柄市の「丸太の森」。この敷地内に移築された「旧福沢小学校」があります。

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旧福澤小学校の概用

校舎入り口の壁面には、このような案内板がかけられています。

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旧南足柄市立福澤小学校々舎について

なつかしい木造校舎 みどりに映える瓦屋根。

この建物は旧南足柄市立福澤小学校々舎の一部です。最近は木造校舎が姿を消してしまったので市でその保存と利用をはかるために昭和六十二年三月にここ丸太の森へ移しました。

いまの福澤地区には、明治の中頃までは千津島(せんづしま)・小市(こいち)・斑目(まだらめ)・□(土へんに尽)下(まました)・怒田(ぬだ)・竹松(たけまつ)の六つの小さい村に分かれていましたが、一つの村にまとまって福澤村と名づけられました。

福澤の名は福澤諭吉先生がよくこの地においでになったので、先生の姓をいただいたといわれています。

移築されてもう25年以上経ちますが、建物としてはまだまだ使えそうに思います。

校舎の周りには…

校庭には二宮金次郎の像。ちょっと目がコワい…。

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外灯は電球が入っていなかったので、使われてはいなさそうです。

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校舎の中へ

早速、中へ入ってみる。

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し~ん。僕が入った時には誰もいませんでした。歩くたびに床が「キュッキュッ」と鳴ります。

校長室

入ってすぐ手前が校長室。いかにも、というような机と椅子。

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古民家でも思いましたが、冬は寒そう。足元にヒーターを置かなければ仕事にならないだろうなぁ…(*02)

職員室(展示室)

その横は「職員室」。が、展示室となっていて、インテリアのレイアウトは教室そのものです。

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木造校舎は「優しい」と思う

木造校舎は思っていた以上に、優しい。僕ら「ゆとり世代」が育ってきた教室といえばどこも「コンクリート造」の校舎です。一応はゴム系の床材が敷かれていましたが、コケれば独特の「固さ」が痛みとともに伝わってくる。それに冷たい…。

でも、この教室で転んだとしても、木質の床がその痛みを吸収してくれそうな気がします。「ペチッ」という鈍い痛みでなく「コテンッ」という乾いた痛み。本当はどちらが良いのだろう。現代の小学生は、どちらを選ぶだろう…。

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そんなことを考えていたら、急に座りたくなってしまいました。なぜなら、オール木材の学級机をみるのはこれがはじめて。軽量化のためか、量産化のためか。僕らがお世話になったのは鉄パイプと木材のハイブリッドでしたので。

懐かしの机や椅子

よっこらせ。

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あ、いたた。お尻が痛い!防災頭巾がないと25歳のオッサンには耐えられません。小学校を卒業してから10年以上。お尻も固くなってしまいました。

その状態で前を向きます。

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あ~。やっぱりいいなあ。

ボロくて汚くはあるけれど、その歪さがまた美しい。机もこんなにボコボコで、下敷きなしには使えない。

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コンパスの針や鉛筆の先っちょで少しずつ削ったのかもしれません。けれど、そのひとつひとつが歴史です。歴代の児童がコリコリやっていた事実が、確かにここにはあるのです(*03)。撫でてみればどこか懐かしく感じました(*04)

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外からは鳥の鳴き声が絶えず聞こえてきます。木漏れ日が揺れ、そのたびに風が抜けます。すごく気持ちがいい。

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こんな場所で育ったら、もっと季節や自然を身近に感じられていたのかもしれません。元は別の場所にあったとはいえ、季節がすぐそこに迫ってくるよう。高気密の冷暖房完備とはワケが違う。

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建具。指を挟んだら痛そう。

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その他のチェックポイント

廊下

廊下に出る。木造校舎の見るべきポイントの一つは、廊下だと思います。

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天井高はどうか。天井はどう張られているか。窓はいくつ配置されているか。腰窓の高さはどの程度か…。

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着眼点がたくさんあります。帰ってカメラを確認すると、廊下の写真だらけでした(笑)。

奥には何やら剥製が。イノシシ?

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裁縫室

その他に「裁縫室」なる部屋もありました。今でいう「家庭科室」とか「茶道室」とか?

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電動?手動?使い方のさっぱりわからない、日立のアンティークミシン。

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以上、楽しみにしていた木造校舎のレポートです。

はじめての木造校舎。その感想

実際に入ってまわり、ひとつの感想が心に浮かびました。

「建物は使用者が居なくなってからが本来の姿である」

と。表現方法は稚拙ですが、永い時間をかけて使われたあと、残った使用感がまた建物の存在感を生み出すのだと。建物は出来事をしっかり記憶しています。柔らかい木造校舎がゆえ、扉ひとつをとっても、歴史がいくつも刻まれているのです。きっと…。

僕が校舎を出る直前。一組の家族が入っていきました。古い校舎を懐かしむ老人と、その横ではしゃぎ走り回る子供たち。

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子供たちの笑い声が響き、どことなく木造校舎も嬉しそうでした。

この記事の脚注

  1. 職場の上司曰く、神奈川県内にも無名の木造校舎はいくつかあるらしい []
  2. そんなことを思う僕は、完全なる現代っ子です。それでも僕の通った学校は、冬は石油ストーブ、夏は自然風でしたよっ!!。 []
  3. コリコリやっているのを先生に見つかって、怒鳴られる姿が目に浮かびます(笑) []
  4. そういやハイブリッドの机でも、こんなボコボコなヤツ、あったよなぁ。鉛筆が引っかかって紙に穴が開く。さらには鉛筆の芯が折れる。休み時間に誰かがケシカスを詰める…!思い出してきた。中学になるとジャージの袖がこの傷にいちいち引っかかるのです!横にスライドさせると繊維が凹凸にプチプチ引っかかって、気持ち悪い振動が腕に伝わるのです。懐かしさの原因はこのあたりから来るのかもしれません []
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